エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1015
2021.06.26 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは、メモリのオーバークロックを試していこう。今回はCore i5-11400の定格である3,200MHzと、Pentium Gold G6400の定格である2,666MHzの3種類に加え、XMPプロファイルに登録されている3,600MHzの設定でも動作を確認した。
メモリクロックを3,600MHzに設定する(画像左)と、内蔵GPUのメモリクロックも3,600MHz(画像右)へと引き上げられる |
Pentium Gold G6400でもメモリクロック3,600MHzで安定動作した |
Core i5-11400、Pentium Gold G6400ともXMPのプロファイルを読み込むだけで3,600MHzに設定することができた。ちなみに内蔵GPUのビデオメモリクロックも3,600MHz(1,800MHzの2倍)に引き上げられているが、グラフィックス系ベンチマークも特に不安定になることはなかった。
続いてメモリクロックによって、パフォーマンスがどう変わるのか確認していこう。使用したベンチマークテストは「SiSoftware Sandra Lite 2021」「CINEBENCH R23」「3DMark」で、メモリクロックは3,600MHz、3,200MHz、2,666MHzの3種類で計測を行っている。
まず「SiSoftware Sandra Lite 2021」の「メモリーの帯域」を確認すると、いずれのCPUでも2,666MHzと3,200MHzで約20%、3,200MHzと3,600MHzでも約10%パフォーマンスが向上。レイテンシも約10%ずつ低下しており、メモリクロックを引き上げる効果は大きい。
続いて、CPUの性能が重要になる「CINEBENCH R23」の結果を確認していこう。「SiSoftware Sandra Lite 2021」の結果に比べるとグッと差は縮まるものの、こちらもメモリクロックが引き上げられるに従って順当にスコアが上昇している。特にPentium Gold G6400では、本来「Z」シリーズ以外のチップセットではメモリクロックが2,666MHzに制限されていたことから、Intel B560チップセットを使用するメリットは大きい。
「3DMark」でもスコアの傾向は「CINEBENCH R23」とほぼ同じ。劇的な違いではないが、メモリクロックが高くなるに連れてパフォーマンスも上昇している。最近では3,600MHzクラスまでなら安価なモデルも増えていることから、エントリーからミドルレンジクラスのCPUとの組み合わせも十分現実的な選択肢になるだろう。
MSIのIntel 500シリーズマザーボードの中では、エントリー寄りのミドルレンジモデルに位置づけられる「MAG B560 TORPEDO」。1万円台という手を伸ばしやすい価格ながら、合計15フェーズにおよぶ堅牢な電源回路と、優れた冷却システムを搭載しており、今回の検証中に不安定になることは一度もなかった。
またミドルレンジの製品では珍しい2.5ギガビットLANとギガビットLANの2系統の有線LANや、2,000MB/secクラスの高速ストレージを利用できるUSB3.2 Gen.2×2などインターフェイスも充実。欲を言えばWi-Fi 6機能は欲しかったが、正直気になるところはそれぐらい。もちろんPCI-Express4.0やRe-Size BARもサポートしており、最新パーツもボトルネックなく動作させることができる。
最近のCPUはブースト機能を備えるものが多く、手動オーバークロックによるマージンはごくわずか。メモリのオーバークロックが可能な「MAG B560 TORPEDO」で十分という人も多いことだろう |
加えて、Intel B560では、メモリのオーバークロックが可能になったことからIntel Z590とのチップセットレベルの機能の違いもごくわずか。CPUのオーバークロックは不要な人や、コスト抑えつつ最新インターフェイスを使いたいなら「MAG B560 TORPEDO」はピッタリの1枚になるだろう。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社