エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1016
2021.06.28 更新
文:池西 樹(検証)/文・撮影:松枝 清顕(解説)
一般的な冷却ファン同様、オールインワン型水冷ユニットでは25~30mm厚が多いラジエターだが、「Liquid Freezer II – 360」では本格水冷さながらの38mm厚が採用されている。常識的にラジエターは大型であるほど、冷却能力は高くなる。120mmファンが3基並ぶ表面積と38mmの厚さにより、既存のオールインワン型水冷ユニットに比べ、理論上からも高冷却が期待できるのは当然の考えだろう。後半のテストセッションの結果に期待しよう。なおラジエターの外形寸法は幅120mm、長さ398mmとされる。
冷却ファンとラジエター(枠を含む)の厚さは実測で64.0mmを示している |
整然と並んだ波打つフィン。38mm厚により冷却ファンからの空気が触れる面積も広くなり、温められた冷却液を素早く冷やす事ができるはずだ |
オールインワン型水冷ユニットとしては珍しく、ラジエターに冷却ファンが固定された状態で出荷される |
冷却ファンは120mmの3連仕様。採用モデルは先日単体発売が開始された「P」シリーズだ。気流を集中させる高静圧タイプで、一般的な製品に比べ振動を約5%低減する新型モーターが採用されている。軸受けはFluid Dynamic Bearingで、コイル温度を低く動作できるため、一般的な冷却ファンに比べて4倍の製品寿命を実現している。
フレームはリブ無しで厚さは25mm。回転数は200~1,800rpmのPWM対応で、最大風量は56.3CFMとなり、騒音値はARCTICが一貫して採用する単位「Sone」表記(音の大きさ)で0.3Soneとされる。
ユニークなインペラ形状に注目すると、120mmサイズながら5枚仕様で、鋭い鎌のようなデザインが特徴。中心のモーターは小径タイプで、イマドキの冷却ファン形状と言えるだろう。さらにユニークなのが、カタログモデルとは異なる超ショート仕様のコネクタケーブルの存在。もう少し詳しく見てみよう。
近頃のオールインワン型水冷ユニットは、非常に多くのケーブルが接続されている。「Liquid Freezer II – 360」にイルミネーション関連のケーブルは無いものの、ラジエターには3基の冷却ファンが搭載され、ポンプユニットと合わせれば最低4本のケーブル・コネクタを接続しなければならない。これを解消しているのが、冷却ファンのデイジーチェーン接続だ。
ラジエターに搭載済みの「P」シリーズファンを真横から観察すると、リブ無しフレーム同士が向き合う際にできる空間を利用し、各々コネクタが隠されている事が分かる |
ほとんどのオールインワン型水冷ユニットは、冷却ファンとラジエターが個別にパッケージされている。一方「Liquid Freezer II – 360」は既に組み込まれた状態で出荷され、ケーブルの接続も完了済みというワケだ。さらに優秀なのが、冷却ファンのケーブルはウォーターチューブのスリーブ内部に収められており、ポンプユニットから伸びる1本のケーブルだけでシステム全体の給電が完了してしまう。配線で頭を悩ませる必要がなく、さらに見た目にもスッキリとシステムに搭載できる点は、かなりのセールスポイントではないだろうか。