エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1022
2021.07.15 更新
文:撮影・こまめ
「ROG Zephyrus M16 GU603」は本来ゲーミングノートPCだが、今回はクリエイティブ性能についてもチェックしておこう。「UL Procyon」はアドビのクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストだ。比較用にミドルレンジのクリエイター向けノートPC (Intel Core i7-10870H/32GBメモリ/1TB NVMe SSD/NVIDIA RTX 3070、比較機①)とハイエンドのクリエイター向けノートPC (Intel Core i9-10980HK/64GBメモリ/2TB NVMe SSD/NVIDIA GeForce RTX 3080、比較機②)の結果を含めている。
「Photo Editting Benchmark」は画像加工に関するテストを行なう。「Image Retouching」は「Adobe Photoshop」メインでGPU性能が影響しやすく、「Batch Processing」は「Adobe Photoshop Lightroom Classic」メインでCPUとストレージ性能が影響しやすい。「Video Editing Benchmark」は「Adobe Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間が計測される。こちらの結果は総合スコアのみだ。
結果を見ると、ハイエンドのクリエイター向けノートPCにも引けを取らない優秀な結果であることがわかる。GPU性能が大きく影響する「Video Editing Benchmark」ではさすがに及ばなかったものの、CPU性能やストレージ性能が影響しやすい「Photo Editting Benchmark」はハイエンド機を上回る優秀な結果だ。「ROG Zephyrus M16 GU603」のディスプレイは色域も広いため、クリエイティブワークでも十分活用できるだろう。
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を最高画質で10分間実行し続けた際のCPUとGPUの温度を計測したところ、平均としてはCPUが79.3℃、GPUが74.2℃だった。ただし温度推移のグラフで見ると、90℃の高温に達していることが何度かある。またCPUのクロックも何度か大きく落ち込むことがあるところを見ると、サーマルスロットリングが発生しているのかもしれない。なおこのテスト時における駆動音は52.4dBAだった。排気音が大きく部屋の外にまでうっすらと聞こえるほどではあったが、うるさすぎるというほどではない。個人的にはゲーミングノートPCではよくある音の大きさに感じる。
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」を10分間実行し続けた際のCPUとGPUの温度およびCPUクロックの推移 |
消費電力については「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を最高画質で10分間実行し続けた際のワット数を計測した。なおディスプレイの明るさは最大に設定している。
最大パフォーマンスを発揮する「Turbo」モードでテストを実行したため、消費電力は平均で204Wとかなり大きい。高性能なCPUとGPUを搭載していることを考えれば、仕方がない結果だ。ただしNVIDIA GeForce RTX 3050 Tiを搭載する下位モデルであれば最大消費電力は180Wなので、実際の消費電力も抑えられるだろう。
ゲーミングノートPCとして見たときの「ROG Zephyrus M16 GU603」は、申しぶんのない仕上がりだ。高リフレッシュレート対応のディスプレイにNキーロールオーバーのキーボード、そして高性能なCPUおよびGPUと、ゲームを快適に楽しむための要素がキッチリ盛り込まれている。GPUはミドルハイからエントリーまで用意されており、予算やプレイするゲームに応じて選べる点はうれしい。
ゲーミング用途の以外の面から見ても、「ROG Zephyrus M16 GU603」の完成度は高い。DCI-P3 100%の広色域対応で最大2,560×1,600ドットの高精細ディスプレイは、クリエイティブな用途にも向いている。16:10のアスペクト比はゲームでは好みがわかれるかもしれないが、文書作成や情報収集に便利だ。コンパクトでスタイリッシュな外観も、見ているだけで気分がアガるに違いない。
このように「ROG Zephyrus M16 GU603」は、ゲーム以外にも活用できるオールマイティなノートPCだ。さまざまなことにチャレンジしたいアクティブな人に向いているだろう。
協力:ASUS JAPAN株式会社