エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1026
2021.07.23 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
ここからは編集部に届けられた「EX-623T-A4」に触れながら、筐体の詳細を確認していこう。PCケースは内部構造が最も重要だが、”長く使う道具”だけに常に目に触れる見た目も重視して製品を選びたい。「EX-623T-A4」は、ベースとなる「EX-623T-A」とほぼ共通の外観を採用。つまり2019年から既に2年が経過したデザインだが、その外観は全く色褪せてはいない。ここからは、ツクモこだわりの外観デザインをポイント別に解説していく。
このPCケースを特徴付けているのは、シンプルなフラット基調のフロントパネルデザインだろう。いわゆるショップブランドPCが出始めた頃のPCケースといえば、どこも工業用筐体というイメージから抜けきれず、デザイン性をアピールできる製品が少なかった。一方、自作PC市場は”自作ならではの自由度”から選択肢が豊富で、徐々にショップブランドPCにも採用例が増えていく。現在のツクモブランドPCも、一部ではPCパーツメーカー製市販モデルが採用されているが、「EX-623T-A4」は企画段階からオリジナルだけに、独自の主張がデザインにも表れている。
ここ数年流行のフラットデザインを取り入れた「EX-623T-A4」は、外装パネルにヘアライン調仕上げのプラスチック製パネルを採用。さらに上段のパネルはマグネット固定式で、オープンベイ利用時には下段のスペースに移動できるように工夫されている。見た目の好みだけでなく、実用性でデザインを変えるアイデアに、ツクモブランドの個性が見て取れる。
ヘアライン調仕上げのプラスチック製パネルが占有するフロントパネル。最上段部にはアルミ製パネルが装着され、ここにスイッチおよびアクセスポート類がレイアウトされている。シャンパンゴールド色のアルミ製パネルは、傷や汚れが目立たず、質感の高さが保てるアルマイト加工済み。常に触れる部分である事への気配りは、細部からも感じ取れる。
正面右手に集約されているアクセスポートは、USB3.0を2口、ヘッドホン、マイクを各1口搭載。必要最低限の装備はデザインの邪魔をしていない。そしてユニークなのがPowerスイッチだ。一般的なPCケースのPowerスイッチはプッシュ式のところ、敢えてスライド式を採用。ワークステーションたるロケーションを考慮した場合、一般ユーザー以上に誤操作による意図しないシャットダウンはダメージが大きい。トラブルを未然に防ぐ対策としては最良の選択であり、Resetスイッチも採用が見送られている。
正面左端搭載される、スライド式のPowerスイッチ。予期せぬシステムのシャットダウンを起こさない防御策としては万全と言えるだろう。日常的に使ううちに、意図の重みを感じる事だろう |
複数のスリットが設けられたトップパネル。素材はプラスチック製で、スチール製シャーシ側天板には、四隅に設けられた円形マグネットにより固定されている。シャーシ天板はハニカム状の通気孔で、防塵フィルタを装備。プラスチック製トップパネル間には、実測約7mmの隙間を確保し、通気性が保たれている。
なおベースとなる「EX-623T-A」は密閉式だが、「EX-623T-A4」からスリット仕様にする事で、より通気性の高さがアピールされるようになった。両者の見分け方となる唯一のポイントで、担当者曰くラジエターを搭載する事をより意識した仕様にアップグレードされたという。
「EX-623T-A」との違いはトップパネルにあるスリットの有無。水冷ユニットの需要を見据えての改良となる |
円形マグネットをプラスチック製トップパネル側に内蔵。シャーシ側には半円にカットされた台座が設けられ、固定位置が決まる仕組み |
スチール製シャーシ側トップパネルは、ハニカム状の通気孔を設け、マグネット固定式の防塵フィルタが装備されている |