エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1026
2021.07.23 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
外観周りのチェックを終えたところで、内部構造を確認してみよう。とは言え、編集部に届けられたのは「EX-623T-A4」ケース単体ではなく、組み込み済みの「WA7A-D211/XT」だ。通常のPCケースレビューとはやや事情が異なるが、各々の構成パーツが組み込まれた状態での周辺クリアランスや、組み込みの方法、PCケース単体として見た「EX-623T-A4」など、あらゆる角度からより詳細をチェックする。
編集部にとどけられた組み込み済みの「WA7A-D211/XT」。ベースモデルとは異なり、240mmサイズラジエターのオールインワン型水冷ユニットを搭載。既にカスタマイズされている |
実機で採用されているマザーボードは、以前詳細検証をお届けしたASRock「X570 Steel Legend」。基板サイズは縦305mm、横244mmのATX規格だが、マウント後のクリアランスを計測すると、フロントパネルまでは実測で約145mmだった。比較としてFractal Design「Define 7 Compact」を引き合いに出すと、以前検証時の計測では基板右手のクリアランスは約95mm。およそ100mm程度が多い中、約145mmの空きスペースは十分広い部類で、25mm厚の冷却ファンを搭載しても約120mmのクリアランスが確保できる計算だ。
市販ミドルタワーPCケースのほとんどに採用されている、ボトムカバー(シュラウド)。「EX-623T-A4」にもまた、リベット留めによるボトムカバーが装着済みだった。内部高は実測で約90mm。右側面から内部を確認すると、電源ユニットとシャドウベイユニットが収納されていた。
ワークステーション向きのPCケースとあって、内部が視認できる強化ガラスやアクリル窓は搭載されていない。とは言え配線をおろそかにせず、ボトムカバーの空きスペースを上手く利用したケーブルマネジメントは、エアフローの妨げにならないPCの構築には有利だろう。組み込み済み実機も例外ではなく、余分なケーブルが露出しないよう、キレイに配線されていた。
ここから「EX-623T-A4」の冷却性能に注目してみたい。左右各3本のピン(ファスナー)により固定されたフロントパネルを外すと、露わになったシャーシから冷却ファンレイアウトがおおよそ把握できる。
前面には防塵フィルタが備わり、取り外すことで冷却ファン搭載スペースを確認。さらに評価サンプルには天板部分にラジエターが設置され、背面にも標準ファンが搭載されている。つまり冷却ファン搭載スペースは計3箇所で、筐体内部のエアフローレイアウトが構築されている事が分かった。次にポイント別に詳細を確認してみよう。
フロントパネル裏には、140mmファンが1基標準で装備される。マウント位置から、ボトムカバー内部方向に風を当てようという考えで、隣接するストレージ(シャドウベイユニット)に常時フレッシュな外気を送り込む事ができるというワケだ。
なお上部には空きスペースがあり、140mmファンをもう1基増設可能。120mmファン2基に換装できるネジ穴(スリットタイプ)も用意されている。
一部カットされたボトムカバー前寄りには、25mm厚140mmファンが標準装備。上部にも空きスペースがあり、120/140mmファンが増設できる |
スリット付きプラスチック製トップカバーと防塵フィルタを外すと、シャーシ側天板にはハニカム状の通気孔と、冷却ファン搭載用ネジ穴(スリットタイプ)が確認できる。ここには120mmファンまたは140mmファンが最大2基増設可能で、通常はオプションとして非搭載状態で出荷される。
ネジ穴(スリット)は7列で、120/140mmファンまたはラジエターの固定位置が調節可能。特別にカスタマイズされた評価サンプルには、240mmサイズラジエターが最も左側面寄りにネジ留めされていた。
リアには140mmファンが1基標準で装備されている。回転数や騒音値などの詳細スペックは公開されていないが、実際に動作させてみたところ、緩やかに回転するため駆動音は気にならず、それでいて風量も確保されている。CPUや電源周りの熱源付近に”熱ごもり”を作らないよう、常時後方へ排気させる重要な役割を果たしている。ちなみに120mmファン固定用のネジ穴も用意されていた。