エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1026
2021.07.23 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
全てのドライブベイをチェックしていこう。メインとなるのは、ボトムカバー内部の前寄りにある、ケージタイプのシャドウベイだろう。自作PC向けPCケースでもお馴染みのスライド式専用トレイは2段で、ここには3.5インチHDDまたは2.5インチSSDが2台搭載できる。
スライド式専用トレイはABS樹脂製。3.5/2.5インチ共用で、コネクタ向きは右サイドパネル側にマウント。カスタマイズオーダーはもとより、自分で増設する場合でも配線がし易そうだ |
この筐体でユニークなのは、ボトムカバーの天板部にも2基分の3.5/2.5インチシャドウベイを備える点だろう。近頃では2.5インチSSDトレイをマウントするPCケースを多く見かけるが、「EX-623T-A4」ではボックスタイプのセパレートシャドウベイを2つ載せた。マザーボードエリアの占有具合が気になる所だが、左サイドパネル側から確認すると、スペース的な問題はなかった。
ドライブのインストール自体は、スライド式専用トレイを使用。右サイドパネル側からのアクセスとなり、3.5インチHDDまたは2.5インチSSDが最大2基増設ができる。
3箇所目のドライブベイは、今や貴重な5.25インチオープンベイだ。フロントパネル上段を確認すると、2台分の着脱できるベゼルが装着されている。これを内部側からチェックすると、5.25インチ用ステイと、増設用フロントパネルやカードリーダーが搭載できる3.5インチHDD/FDD兼用マウンタがそれぞれに装着されていた。
ここでは注意書きが必要で、検証機のようにトップパネル部に240mmサイズラジエターを搭載すると、上段の5.25インチのスペースが使えなくなる。その場合光学ドライブは下段に搭載すればいいワケだが、3.5/FDD兼用マウンタは取り外さなければならない。2段分をフルで活用するなら、トップパネルに240mmサイズラジエターは諦める事になる。このような排他仕様は決して珍しくはない。とは言えやや複雑だけに、もし構成に不安がある場合、迷うことなく直接問い合わせてみるといいだろう。
オーダー時のカスタマイズにより、BDXL対応Blu-rayドライブ、DL対応DVDスーパーマルチドライブが選択可能。さらにFDDならぬUSB3.0フロントパネル(USB3.0x2)またはUSB3.0対応カードリーダー+フロントポート(USB3.0x1)付(UHS-II/AK-ICR-27)が増設できる |
拡張スロットを数えると、全8段だった。ミドルタワーPCケースの標準は7段だが、プラス1段多く装備されている。筆者を含め、コンシューマユースで全てのスロットを使い切るという事はまずないだろう。ただし「EX-623T-A4」はクリエイティブワークステーションタワーとあって、プロフェッショナルな現場への導入も想定されているのだろう。もちろん全スロットを埋めるのではなく、間隔を空けて拡張ブラケットを固定するといった使い方ができる。
ツクモ担当者曰く8段仕様の理由は「4GPUや追加ブラケット等法人様の特殊案件を想定」したもの。内部構造から「EX-623T-A4」がハイエンド向けのプロダクトである事が分かる |
ボトムカバー内部に収められる電源ユニット。マウント方法を確認すると、筐体背面のブラケットに電源ユニットをネジ留めし、スルスルとスライドさせてインストールする仕組み。側面から挿入する背面固定式と違い、モジュラーコネクタの抜き挿しがし易く、のちのちメンテナンスを容易にできるメリットがある。
シャドウベイユニットとスペースを分け合う、ボトムマウントの電源ユニット搭載。搭載電源ユニット等の詳細については、後に詳しく解説しよう |
電源ユニット搭載スペース右横には、セキュリティロック用の穴を用意。ワークステーション向けPCケースの片鱗が伺える |
「EX-623T-A4」は随所にイマドキの設計を感じる。普段目に付かない裏配線スペースも、そんな箇所のひとつだ。BTOパソコンとして購入する人の大多数は、右サイドパネルを開くことはないだろう。とは言え組み込みに手を抜くことはなく、至って整然とケーブルが配線されていた。改めて眺めたところで随分とスッキリ感じるのは、マザーボードトレイにCPUクーラーメンテナンスホールがなく、フラットなスチール面積が広いためだろう。必要最低限にして、要所にはスルーホールを設け、ケーブルの露出は極力抑えられている。カスタマイズにより構成パーツが増えればこの限りではないが、それでもまだ裏配線スペースには十分な余裕があった。
見えない所への配慮が見て取れる右サイドパネル側の裏配線スペース。フルモジュラー式電源ユニットには、必要な分だけのケーブルが接続されている |
マザーボードトレイ裏部分の裏配線スペースは、実測で約20mm程度 | 一段下がった電源ユニット搭載部の裏配線スペースは、実測で約30mm程度 |
マザーボードトレイと裏配線スペースを繋ぐスルーホール。最も太いATX24pin電源ケーブルや、SATAデータケーブル等がここを通りそれぞれのコネクタへ接続される |