エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1029
2021.07.28 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最後にストレージの搭載方法を簡単に触れておこう。まず、ボトムカバー前方のシャドウベイユニットに、3.5インチHDDを2台搭載してみた。以前検証したCooler Master製品にも採用されていた専用トレイは、底面のロックを解除するとスライドし、左右の突起が3.5インチHDD側面をロックする仕組み。ツールフリーながら専用トレイをケージに収めることで、よりガッチリ固定ができる。なお2.5インチSSDは底面の穴を利用し、ミリネジでネジ留めを行う。
3.5インチHDDならスライドロック式で簡単に固定が可能。なおコネクタは2.5インチSSD共に右側面方向に固定することになる |
次にCPUクーラーメンテナンスホール下のエリアに、2.5インチSSDを固定してみよう。予め用意された穴に、付属の「スクリュー固定用ゴム」を押し込み、受け側の準備を行う。次に2.5インチSSDの底面4箇所のネジ穴に付属の「SSDスクリュー」を装着。受け側の固定用ゴムに挿し込めば、工具いらずで装着できる。一度固定すればそう取り外す機会はないが、多くのPCケースで採用される専用ブラケットが不要。最も簡単に固定できる方法がコレというワケだ。
「SSDスクリュー」のヘッド部にはマイナスドライバーの溝があるものの、手回しでも十分に装着はできてしまう。なおケーブルマネジメントの観点から、コネクタは下向きにする方がいいだろう |
記憶が曖昧なうえ、極力事前情報を入れないまま開始した今回の検証。内外装チェックから組み込みセッションまでを終えたところで、なるほどCooler MasterらしいPCケースだった。それを最も感じるのは「PCケース自体の作り」だ。
メジャーブランドが作る製品には、独特な癖のようなモノがある。感覚的には”匂い”に近いため、活字では表現しにくいが(もちろん実際に匂いを嗅げ分けるという特殊な能力は持ち合わせない)、フィニッシュであったり、設計の一部であったり。これまで多くのCooler Master製品に触れてきたが、「MasterBox 540」もまた、どこかに「Centurion 5」や「CM 690」の面影を感じる。誰もが認めるCooler Masterの成功例は、ここまで脈々と受け継がれているという事だろう。
抽象的な感想はさておき、売価相応の出来映えだろう。フロントパネルには設計者の主張があり、ベーシックながら吸排気エアフローや構成パーツのレイアウトはそつなく減点対象は見当たらない。一方で加点ポイントを探せば、完全に取り外せるトップパネルだろう。実際にオールインワン型水冷ユニットでラジエターを固定すると、たちまち身動きが取れなくなってしまうが、それまでの組み込み過程ではどんなに重宝したか。Cooler Masterは今後一切の新型PCケースに、トップパネル着脱式を採用すべきだ。
さて、最後に見て欲しいのがARGBストリップライトと両サイドのデフレクターから、自動車の照明にインスパイアされたというフロントイルミネーションだ。製品情報によると、前面のダークミラーとの組み合わせによりひねりを加え、従来品とは違う装飾が楽しめる、とある。イルミネーションはフロントトップのResetスイッチで切り替えが可能。気分に応じてセレクトすればいい。なるほどARGBストリップライトは奥行きを感じ、側面のスリットをデフレクターと呼ぶ事で、自動車っぽさは演出できているのではないか。発光PCケースからの組み替えや、発光PCケース初体験まで、誰もが美しく感じる仕上がりは”記憶に残るPCケース”のひとつになるだろう。
協力:Cooler Master Technology