エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1030
2021.07.30 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
FSP「DAGGER PRO 850W」(型番:SDA2-850) 市場想定売価税込18,500円(2021年7月30日発売) 製品情報(FSP / 株式会社アユート) |
必ずしも万人向けではないものの、ミニPCの愛好家にとっては見逃せない存在になりそうだ。電源ユニットの老舗メーカーFSPより、SFXフォームファクタの新製品として「DAGGER PRO」シリーズが投入。国内向けの販売が始まっている。
近頃は個性的なミニサイズPCケースも数を増やしており、そうしたモデルは電源ユニットにSFX規格を要求することが多い。そのため、かつては(いま以上に)ニッチな存在だったSFX電源もラインナップが拡充され、だいぶ環境に合わせたお目当てを選びやすくなった印象だ。
一般的なATX電源に比べ、圧倒的にコンパクトなSFX電源。デザイン重視のミニタワーやスリムケースでは、サイズ上の制約からSFX電源が採用される例が多い |
しかしあまりにサイズが小さいことから、容量は400~600Wのミドルレンジ向けに留まる製品がほとんど。その一方で「DAGGER PRO」シリーズは、550W/650W/750W/850Wの4モデルをラインナップ。特に現状で選択肢がほとんどないSFX規格最大容量の850Wモデルをチョイスできる点は大きなトピックだ。
今回主役として取り上げる850Wモデルの「DAGGER PRO 850W」であれば、ハイエンド構成のシステムも無理なく駆動させることができる。コンパクトな筐体に最高クラスのスペックを詰め込みたいという、欲張りなニーズにも応えてくれるというわけだ。
SFXフォームファクタに対応する、80PLUS GOLD認証のフルモジュラー電源ユニット「DAGGER PRO」シリーズ。その最大容量モデルを検証していく |
さて、まずは始めに「DAGGER PRO 850W」の大まかな仕様から見ていこう。80PLUS GOLD認証を取得したSFX電源ユニットで、ケーブルタイプはすべてが着脱式のフルモジュラー仕様。+12V系はハイエンドグラフィックスカードがフルパワーを発揮できるシングルレーン設計になっている。
部材の面では、高信頼性モデルの定番として日本メーカー製の105℃コンデンサを採用。さらにFSPが開発した、電源専用の多機能制御IC「MIA IC(Multiple Intelligence Ability IC)」を搭載している。複数の機能を1チップで兼ねる特許取得済みのICで、品質を落とすことなく部品点数を削減できるのがメリット。特に内部スペースが限られるSFX電源ユニットにとっては、他社製品に比べ大きなアドバンテージになり得る要素だ。
ATX電源より難易度の高い内部設計。特許取得済みの独自多機能制御ICを採用するほか、コンデンサはすべて日本メーカー製が組み込まれている |
また、冷却機構は静音仕様の92mmボールベアリングファンを搭載。このファンはセミファンレス動作に対応しており、システム負荷20%かつ25℃以下の場合は回転を停止する仕様になっている。そのほか、製品にはATX変換ブラケットが付属。SFX規格だけでなく、ATX電源対応の一般的なPCケースに組み込むことができる。単に“小さなATX電源”として使用することも可能というわけだ。
なお、メーカー保証はクラス最長の10年間。「DAGGER PRO」シリーズの他モデルは、750Wモデルが同じく10年間、650Wと550Wモデルは7年間となっている。
「DAGGER PRO」シリーズのパッケージ。SFX電源らしく、外形寸法は幅238mm、奥行き108、高さ184mmとコンパクトだ。側面にはケーブル仕様、背面には主要な特徴がうまくまとめられている |