エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1030
2021.07.30 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
「DAGGER PRO 850W」の小さなボディを内外から観察したところで、ここからはシステムに組み込んでの実動テストに移っていく。検証環境には、CPUに12コア/24スレッドのRyzen 9 5900X(3.70GHz/最大4.80GHz/キャッシュ6+64MB/TDP105W)、グラフィックスカードにはRadeon RX 6900 XTを搭載したMSIのオーバークロックモデル「Radeon RX 6900 XT GAMING X TRIO 16G」を用意。ウルトラハイエンド環境を構築し、各種ストレステストでその信頼性を確かめてみよう。
12コア/24スレッドのハイエンドCPU Ryzen 9 5900Xを搭載。TDPは105Wで、高負荷時には最大4.8GHzまでクロックが上昇していた |
グラフィックスカードは、AMD系のフラッグシップRadeon RX 6900 XTを搭載するMSI「Radeon RX 6900 XT GAMING X TRIO 16G」。「TRI FROZR 2」クーラーを備えた大型のOCモデルで、公称TDPは300Wとされる |
メーカー公称の動作クロックはブースト時最大2,340MHzのところ、高負荷時には最大2,500MHzオーバーで動作していた |
動作検証にあたり、電圧変動を視覚的に把握できる「AIDA64 Extreme Edition」を使用している。まず各種負荷テストのトップバッターとして、その中に搭載されているストレステストの「System Stability Test」を実行。チェックボックスをすべて埋めて最大限の負荷がかかるように設定、30分間連続で動作させている。
なおテスト中における消費電力は最大609W。一般的に電力変換効率の面では容量の半分程度の負荷が理想的とされるが、今回は約71%と強めの負荷がかかっていたことになる。
CPUやグラフィックスカードなど、主要パーツの動作に用いられる12Vの挙動を中心にテストをチェックしていく。まず12Vにフォーカスしたグラフ波形(11~13V範囲)を確認すると、かなり微細な変動が連続して繰り返されている。一般的なATX電源に比べ、余裕の少ないSFX電源らしい挙動だ。
もっとも全体的な変動幅を見てみると、最小値がほんの少し定格割れしているものの、定格値を基準とした変動幅は2%未満。PC向け電源は5%程度の電圧変動が許容されていることを考えれば、ブレの幅はかなり少ないことが分かる。
なお余談ながら、基板裏面までコンポーネントが実装されているSFX電源らしく、底面の発熱が大きい点はやや気になった。動作自体には問題ないものの、ケースに組み込む際は多少留意しておきたい。