エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1032
2021.08.03 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
DDR4-3600に対応するG.SKILL「F4-3600C19D-16GSXWB」(8GBx2)を使用 |
メインのメモリクロックだけでなく、GPUのメモリクロックも3,600MHz動作になる |
メインメモリの一部をビデオメモリとして使用するRyzen APU。これまでの製品では、より高クロックのメモリを使用することで、グラフィックス性能を大きく引き上げることができた。そこでテストセッションのラストは、DDR4-3600のメモリを使い、パフォーマンスがどの程度変化するのかを確認しておこう。なおベンチマークテストには「CINEBENCH」の3種、「3DMark」の4種(Graphics scoreのみ)、「ファイナルファンタジーXIV︓暁月のフィナーレ」を使用した。
CPU性能が重要になる「CINEBENCH」では、3種類いずれのベンチマークでもその差は1%未満。増減にも規則性は見られず、メモリクロックの違いによる有意な差は見られなかった。CPUによるレンダリング処理などがメインなら、メモリクロックより、メモリ容量を重視してPCを構築するといいだろう。
続いて「3DMark」のGraphics scoreを確認していこう。こちらはいずれのプリセットでも、メモリクロックの差(12.5%)とほぼ同じ約12%スコアが上昇しており、メモリクロックがそのまま性能に直結していることがわかる。
また「ファイナルファンタジーXIV︓暁月のフィナーレ」でも、8~9%スコアが向上。高品質では判定も“設定変更を推奨”から“普通”にアップするなど大きな効果が期待できる。APU内蔵のGPUでゲームもプレイするつもりなら、予算が許す限り高クロックなメモリを用意するといいだろう。
デスクトップ向けRyzen 5000シリーズから遅れること約9ヶ月。まさに満を持しての登場になった「Zen 3」アーキテクチャを採用するRyzen 5000Gシリーズ。CPU性能についてはシングルスレッド性能が最大で20%以上、マルチスレッド性能も10%以上向上するなど、期待通りのパフォーマンスを発揮する。
最新アーキテクチャを採用しながらPCI-Express4.0に非対応な点はやや残念だが、欠点はそのくらい。省電力性能も優秀で、特にRyzen 7 5700Gは、デスクトップ向けRyzen 5000シリーズに欠けているTDP 65Wクラスの8コアCPUとして、外部グラフィックスカードを組み合わせたシステムにも大いにオススメだ。
またGPU性能についても、デスクトップ向けプロセッサの中では最高峰のパフォーマンスを発揮。実ゲームでは、CPU性能の向上によってさらなる上積みも確認でき、中量級までのゲームなら画質の調整で十分快適に遊ぶことができる。
「Zen 3」アーキテクチャの高性能CPUコアを採用することで、さらにバランスが良くなったRyzen 5000Gシリーズ。今回一般販売が開始されるのはRyzen 7 5700GとRyzen 5 5600Gの2モデルだが、AMDにはぜひ下位モデルやTDP 35Wの省電力モデルなどのラインナップの拡充を検討してもらいたい。
協力:日本AMD株式会社