エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1044
2021.08.27 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
Fractal Design「Ion+ 2 Platinum 860W」(型番:FD-P-IA2P-860) 市場想定売価税込26,000円前後(2021年8月27日発売) 製品情報(Fractal Design)(株式会社アスク) |
以前に詳細レビューを行った「Ion+ Platinum」シリーズの発売から、ちょうど2年というタイミングで登場した80PLUS PLATINUM認証の後継モデル。それが今回取り上げる「Ion+ 2 Platinum」シリーズだ。先代はFractal Design製の電源ユニットとしては、だいぶご無沙汰な存在として市場に投入された製品。しかし優れた品質に加え、ある唯一無二の要素が話題を呼び、目の肥えた玄人ユーザーを中心に高い評価を獲得するに至った。
20~100%負荷時において89%の変換効率を発揮する、80PLUS PLATINUM認証を取得した電源ユニットの新シリーズ「Ion+ 2 Platinum」が発売された |
その特別な要素とは、最新作の「Ion+ 2 Platinum」シリーズにも受け継がれた、驚くべき柔軟性を備える「UltraFlexケーブル」のこと。専用設計の絶縁体を使用した高密度編み込みケーブルで、導体を他社製品の半分程度に相当する、直径わずか0.08mmに抑えた。効率や電流容量を犠牲にすることなく、とても電源ユニットのケーブルとは思えないほどの柔らかさを実現。曲げやねじりといった、取り回しの快適さは別格だ。
本来ケーブルは、電源ユニットという製品の中でも脇役に近い存在。ユニット本体の性能が優れていれば、むしろ多少の妥協があっても許される(であろう)領域だ。しかしFractal Designは常識を覆すほどのケーブルを作り上げたことで、電源ユニットの使い勝手を左右する重要なファクターであることを、あらためて証明したと言える。
Fractal Designの高級電源にとって、いまや代名詞になっている超柔軟ケーブルの「UltraFlexケーブル」を引き続き採用。異次元の柔らかさで、ケーブルの取り回しが圧倒的に楽になる |
そうした優秀なケーブルを採用する「Ion+ 2 Platinum」は、先代から何が変わったのか。まず基本的な仕様からチェックすると、起動時間と過渡負荷応答特性が改善した、最新規格のATX 2.52をサポートした点が挙げられる。さらにより高精度な過電流保護を備えるなど、内部機能がアップグレード。そして「Ion+ Platinum」では大容量モデルに限られていた、2系統のCPU補助電源ケーブル(EPS 12V 8pin/ATX 12V 4+4pin)が全機種に付属している。
信頼性を重視した内部設計は健在で、一次側・二次側ともにすべて日本メーカー製の105℃コンデンサを搭載するなど、選りすぐりの高品位コンポーネントを採用。冷却機構は超静音かつ高効率な140mm径のFDB(Fluid Dynamic Bearing)ファン「Dynamic GP-14」を搭載している。このファンはセミファンレス動作の「Zero RPMモード」に対応、機能は本体のON/OFFスイッチで切り替えることが可能だ。
先代から一転、ブラックを基調としたシックなパッケージを採用する。背面には内部設計の特徴やセミファンレス機能、出力仕様などのスペックが記載されていた |
「Ion+ 2 Platinum」シリーズの電源容量は、560W/660W/760W/860Wの全4モデル展開。このラインナップ構成は先代の「Ion+ Platinum」を踏襲するもので、ウルトラハイエンド環境を睨んだ1000W以上のモデルは、やはり追加が見送られた。メーカー保証は80PLUS PLATINUM認証製品らしく、クラス最長の10年間だ。
なお今回は、株式会社アスクより最大容量の860Wモデル「Ion+ 2 Platinum 860W」(型番:FD-P-IA2P-860)を借り受け、検証を進めていく。