エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1044
2021.08.27 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
さて、ここまで「Ion+ 2 Platinum 860W」の外観から内部構造に至るまでをチェックしてきた。続いては、いよいよ電源ユニットをマシンに組み込み、その信頼性を実動テストで検証していこう。検証環境のCPUには、12コア/24スレッドのハイエンドモデルRyzen 9 5900X(3.70GHz/最大4.80GHz/キャッシュ6+64MB/TDP105W)、グラフィックスカードにはMSIのRadeon RX 6900 XT搭載モデル「Radeon RX 6900 XT GAMING X TRIO 16G」をそれぞれ採用。ウルトラハイエンドクラスの環境を構築し、各種ストレステストやベンチマークテストにおける挙動を確かめてみることにした。
12コア/24スレッドのハイエンドCPU Ryzen 9 5900Xは、TDP105W。高負荷時は最大4.8GHz前後で動作していた |
グラフィックスカードは、Radeon RX 6900 XT搭載のOCモデルである、MSI「Radeon RX 6900 XT GAMING X TRIO 16G」を組み込む。なお、TDPは300Wとされる |
公称の最大クロックは2,340MHzだが、オリジナルの3連ファンクーラー「TRI FROZR 2」の冷却能力もあり、フルロード時は最大2,400MHzオーバーで動作していた |
電源ユニットの検証では、電圧変動を視覚的に把握できる「AIDA64 Extreme Edition」を使用している。そこでまずはトップバッターとして、ソフトウェアに統合されているストレステストの「System Stability Test」を実行。すべてのチェックボックスを埋めて最大限の負荷がかかるように設定し、30分間連続で動作させた際の挙動を見ていこう。
なお、テスト中の消費電力は最大で607Wだった。電力変換効率の側面では、一般的に容量の半分程度の負荷が理想的とされる。今回は860Wモデルの「Ion+ 2 Platinum 860W」にとって、やや強めな70%ほどの負荷がかかっていたことになる。
ここからは、CPUやグラフィックスカードといった主要パーツの動作に用いられる、12Vの挙動を中心にテストをチェックする。まず12Vにフォーカスしたグラフ波形(11~13V範囲)を確認すると、ほぼフラットで大きなブレもなく動作しているのが分かるだろう。多少の変動を繰り返す動作が一般的であることを考えれば、かなり落ち着いた挙動と言える。
続いて電圧値を見ていくと、12Vを中心にやや定格値を割っていることに気付くものの、ここまで微小な違いであれば誤差の範囲内。PC向けの電源ユニットは規格上5%程度の電圧変動を許容されているわけだが、「Ion+ 2 Platinum 860W」の変動はわずか1.3%ほど。ほぼ11.986Vに張り付きで動作しており、極めて動作が安定していることが分かる。