エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1052
2021.09.12 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ありがちな表現だが「満を持して」とはこの事だろう。今回取り上げる「Torrent」は、従来のFractal Design(以下:Fractal)のPCケースラインナップには無い、新設計の筐体をデビューさせた。まずは製品画像をじっくりご覧いただこう。
Fractal Design「Torrent Black TG Light Tint」(型番:FD-C-TOR1A-01) 市場想定売価税込30,800円前後(2021年8月27日発売) 製品情報(Fractal Design / 株式会社アスク) |
全体を眺めるとまずはフロントパネルに目が行くだろう。オープンフロントグリル・デザインと名付けられた格子はY字型ベントと呼ばれ、デザインされた通気孔はいかにもエアフロー重視のスタイルであり、同じ性質の「Meshify」シリーズに共通したコンセプトにも思える。しかし見た目はまったくの別物で、出で立ちもトップのエッジに傾斜を付ける新たな試みにより、看板モデル「Define」シリーズとも異なるフルタワーPCケースに仕上げた。
今回ご紹介するのは「Torrent Black TG Light Tint」(型番:FD-C-TOR1A-01)だが、複数のバリエーションが乱立し、少々著者を混乱させている。そこで本題に入る前に、「Torrent」の全バリエーションとそれぞれの違いを把握しておこう。
遠慮がちに”ちょっと複雑”と記したものの、実際にはかなり複雑な全6種のバリエーションがラインナップされている。このようなケースでは、売れ筋と思われるモデルをピックアップし、市場の様子を窺いながら種類を増やす手法も考えられるが、国内代理店の株式会社アスク(本社:東京都千代田区)は、発売日の8月27日に全6種を一斉に投入している。発売直前まで代理店担当者が混乱していたことは内緒だが、致し方ないと思わせる難解な組み合わせを、以下にまとめてみた。まずは全6種の製品名および型番、市場想定売価をご覧頂こう。
ポイントは外観のボディ色と、両サイドパネル色、標準搭載ファン、さらにシュラウド側面のARGB LEDの有無だ。さらに詳細な組み合わせは以下の表通り。
すでに筆者はお手上げだが、要するにボディ色はブラック、ホワイト、グレーの3色で展開。サイドパネルは密閉型ソリッドと、強化ガラス製パネル色がライト、ダーク、クリアの3色、標準搭載ファンがARGB LED内蔵「Prisma AL-18 ARGB PWM/Prisma AL-14 PWM」か、LED非搭載の「Dynamic X2 GP-18 PWM/Dynamic X2 GP-14 PWM」の2パターンというワケだ。なお、シュラウド側面のARGB LEDについては、内部が見えないソリッドパネル仕様の「Torrent Black Solid」のみ非搭載になる。
イントロダクションの最後に、スペック表から「Torrent」の概要を掴んでおく。まずは株式会社アスクの製品サイトに掲載されている表に準拠した、「Torrent Black TG Light Tint」(型番:FD-C-TOR1A-01)のスペック表を見て頂こう。
外形寸法は幅242mm、奥行き544mm、高さ530mmで、カテゴリはフルタワーPCケースとされている。Fractalを代表的するモデル「Define 7」は幅240mm、奥行き547mm、高さ475mmだから、高さが55mmほどプラスで、幅と奥行きはほぼ同等。対応フォームファクタはE-ATX/ATX/microATX/Mini-ITX/SSI-EEB/SSI-CEBとなり、なるほどミドルタワーよりも大きな筐体である事が分かる。
そして既存モデル同様、FractalのPCケースは数多くの仕掛けをこれでもかと詰め込んでくる。事前資料に目を通しただけでもかなりのページに及んでいる。ここは駆け足で、実機による検証へと進めていこう。
凝ったパッケージは「Torrent」も同様。内部にはFractalロゴパターンをあしらい、単なる茶箱では片付けない。なおバッケージサイズは幅343mm、奥行き640mm、高さ674mmで、総重量は18.84kg。この数字だけを見ると、店頭持ち帰りにカートが必須であることが分かる |