エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1053
2021.09.15 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは、より実際のゲームプレイに近い負荷を再現するため、ゲーム系ベンチマークを動作させた際の挙動を見ていこう。まずはMMORPGの人気タイトル「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークだ。グラフィックス設定を「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットにセットし、これまで同様に30分間ループでテストを実行している。
テスト動作中の消費電力は最大401Wと、今回の検証では最も控えめな数値に収まった。負荷率は50%に近く、電力変換効率の面では理想的な動作環境と言える。
CPU負荷こそ低いものの、不規則なグラフィックスの負荷がかかるためか、グラフ波形は常に変動しているといった印象。これまでで最も変動が賑やかに見える一方で、全体の変動幅は1%未満と狭く、不安定さは微塵も感じない。ゲームプレイ中でも常に安定した動作が期待できる。
最後はループ可能なゲーム系ベンチマークの中でも、より重量級な「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークを実行する。カスタム設定で最も負荷が大きくなるよう項目を選択し、解像度は3,840×2,160ドットにセット。これまでのテストと同様に、30分間連続で動作させている。
なお、消費電力はさすが重量級タイトルということもあり、「FFXIV」や「3DMark」より高い最大583Wだった。負荷率は約70%といったところ、いったいどのような挙動を示すだろうか。
やはりゲーム系のベンチマークは不規則な負荷が断続的にかかる都合上、「FFXIV」同様にグラフ波形にも動きが目立つ。しかし全体の変動幅は1.3%程度であり、ここまでのテストの多くがそうであったように、電圧変動は12.038V~11.986Vの範囲に収まっていた。また、+3.3Vと+5Vも定格をわずかに割っているものの、その差は極小であり気にかけるレベルではない。テストを通じて一貫性のある安定した動作が印象的だった。
メインストリーム向けに投入された最新モデルとして、「NE GOLD M」シリーズは押さえるべき市場のトレンドをしっかりとカバーできている。セミモジュラーからフルモジュラーへと進化した点に加え、ミドルレンジ帯でも大容量電源のニーズが高まっている現状を踏まえて容量バリエーションを増強した。それでいてショート筐体など扱いやすさはそのままで、システムの安定動作を支える信頼性も申し分なし。コストを見据えつつ安心も欲しいという層にとって、魅力的な選択肢に映るだろう。
しかし従来の「NeoECO GOLD」シリーズ自体の人気はいまだ高く、市場の流通量も豊富なことから、すぐに“代替わり”とはいかないはずだ。むしろ低コストを強みとする「NeoECO GOLD」と機能面が進化した「NE GOLD M」という、メインストリーム向けの二大看板にラインナップが拡充されたと考えるのが正解かもしれない。市場でも一際注目度の高いバリューゾーンにおける懐の深さ、さすがは老舗のAntecと言ったところだろうか。
協力:Antec
株式会社リンクスインターナショナル