エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1054
2021.09.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
MOSFETの温度はセンサーで読みとることができなかったため、サーモグラフィでチェックすることにした |
テストセッションの最後は、高負荷テストによる電源回路やチップセットの温度をチェックしていこう。電源回路のストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」で、温度計測にはサーモグラフィを。チップセットのストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」と「CrystalDiskMark 8.0.4」(テスト条件は「ヒートシンクアーマー」と同じ)で、温度計測はサーモグラフィと「HWiNFO」をそれぞれ使用している。
アイドル時のサーモグラフィ | 「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」実行中のサーモグラフィ |
まず電源回路の温度を確認すると、最も熱いところでもアイドル時は約45℃、高負荷時は約62℃までしか温度が上がらなかった。ちなみヒートシンクのない、CPUソケット上側のMOSFETは高負荷時でも50℃以下を維持できており、冷却性能には全く不安はない。また各CINEBENCHのスコアも、これまで計測したRyzen 9 5950Xと大きく異なることはなく、定格(ターボ機能は有効)での運用であれば、現行すべてのRyzen 5000シリーズの性能を存分に引き出すことができる。
チップセットの温度は「HWiNFO」で取得できたため、「CINEBENCH R23」と「CrystalDiskMark 8.0.4」のストレステスト時の温度変化をチェックすることにした |
アイドル時のサーモグラフィ | 「CrystalDiskMark 8.0.4」実行中のサーモグラフィ |
続いてチップセットの温度を確認していこう。今回は大型のグラフィックスカードを搭載していることもあり、アイドル時の温度は67.3℃とやや高め。しかし高負荷時は「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」実行時が最高69.8℃、よりチップセットへの負荷が高い「CrystalDiskMark 8.0.4」実行時でも70.5℃で頭打ち。アイドル時との差は約3℃しかなく、しっかりと温度上昇を抑えることができている。さらに実際にPCケースに組み込んだ場合には、ケースファンのエアフローがあることから、「X570S PG Riptide」ならファンレスでも全く動作に問題はない。
ASRockのマザーボードでは空白地帯になっていた、メインストリームゲーミング帯へと投入された「X570S PG Riptide」。Wi-Fi 6無線LAN機能や一体型I/Oシールド「Flexible I/O Shield」が省略されていたり、M.2ヒートシンク「ヒートシンクアーマー」が1基のみになるなど、コストを抑えた影響は確実にある。また電源回路についてもフェーズ数のみに限れば10フェーズと、AMD X570チップセットモデルの中では決して多い方ではない。
とは言え、「50A DrMOS」や「プレミアム60Aパワーチョーク」など、ASRockらしい厳選した高品質なパーツや、大型ヒートシンクを組み合わせることで、Ryzen 5000シリーズのフラッグシップモデルであるRyzen 9 5950Xを搭載した場合でも、その性能を十二分に引き出すことができた。
またラグのない通信ができる「Killer E3100 2.5ギガビットLAN」や、高レポートレートに対応する「Lightningゲーミングポート」といった独自機能も充実しており、定格運用が前提のゲーミングPCであれば上位モデルとの差を感じることはあまりないはずだ。
加えて、ファンレスヒートシンクながらチップセットの冷却にも全く不安はなし。これまでチップセットファンのノイズや、価格面からAMD X570マザーボードの購入をためらっていたのなら、この機会にぜひ「X570S PG Riptide」の導入を検討してみてほしい。
協力:ASRock Incorporation