エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1056
2021.09.21 更新
文:撮影・松枝 清顕(解説)/ 検証セッション・池西 樹
続いてFractal Design「Lumen S36 RGB」を実際にPCに組み込み、その冷却性能をチェックしていこう。まずはIntelのメインストリーム向け最上位Core i9-11900Kによる検証から進めていく。ストレステストは「OCCT 9.0.5:CPU:データセット大」と「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」の2種類で、マザーボードのファンコントロール機能はデフォルト設定。またCPU温度およびファン回転数の取得には「HWiNFO64 v7.10」を使用し、新ブースト機能「Adaptive Boost」を有効にした状態でもテストを実施している。
第11世代Intel Coreプロセッサの最上位モデルCore i9-11900K。CPUの性能を限界まで引き出す最新ブースト機能「Adaptive Boost」を有効にした状態でもテストを実施した |
CPUクロックや温度、ファン回転数の計測には「HWiNFO64 v7.10」を使用 |
冷却ファンやウォーターブロックのアドレサブルRGB LEDは、マザーボードのイルミネーション機能で制御できる |
まず定格の結果を確認すると「OCCT 9.0.5」は概ね70℃前後、最高温度も75℃で頭打ち。動作クロックもTurbo Boost 2.0の全コア最高値である4.70GHzはもちろん、Thermal Velocity Boostの全コア最高値である4.80GHzまで引き上げられるシーンも多く見られ、冷却性能には全く問題ない。そして若干消費電力が増える「CINEBENCH R23」でも、CPU温度は73℃前後で推移。動作クロックは4.80GHzまで上がるシーンは減っているが、Turbo Boost 2.0の全コア最高値である4.70GHz以上は確実に維持することができている。
続いて「Adaptive Boost」の結果を確認すると、さすがに「CINEBENCH R23」ではCPUの許容限界である100℃まで上昇。動作クロックもサーマルスロットリングによって5.00GHzに低下するシーンが見られる。とは言え空冷クーラーでは動作クロックが4.80GHz前後、消費電力も350W前後で限界に達することを考えると、「Adaptive Boost」の性能をかなり引き出していることが分かる。また「OCCT 9.0.5」については、CPU温度が90℃前後、動作クロックは最高値である5.10GHzを常にキープしており、「Lumen S36 RGB」の冷却性能は非常に優秀だ。
定格のファン回転数は「OCCT 9.0.5」が1,400rpm前後、「CINEBENCH R23」でも1,500rpm前後で余力がある状態。ファンコントロール機能で回転数をもう少し上げることでThermal Velocity Boostの全コア最高値である4.80GHzを常に維持することもできそうだ。ちなみにノイズレベルは前者が35.6dBA、後者でも38.2dBA。風切り音も低音が中心で、あくまで主観ながら耳障りに感じることはなかった。
「Adaptive Boost」を有効化すると、いずれもファン回転数はフル回転の1,900rpm前後まで上昇。ノイズレベルも45dBA弱で、テストをしていても明らかにノイズが増えているのが分かる。とは言え、バラック状態でも我慢できないほどではなく、ヘッドホンをしたり、音楽を流しながらの作業(もしくはゲームプレイ)なら気にならないだろう。