エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1056
2021.09.21 更新
文:撮影・松枝 清顕(解説)/ 検証セッション・池西 樹
テストセッションのラストは、Ryzen 9 5950Xと同じTDP105Wながら、CCDが1基で、よりクロックも高いことから熱処理が難しいRyzen 7 5800Xの結果を確認していこう。
CCDが1基で、ベースクロックも高めに設定されているRyzen 7 5800X。1つのCCDに熱が集中するため、Ryzen 9 5950Xより熱処理は格段に難しい |
「OCCT 9.0.5」では途中突発的に温度が上がるところはあるものの、概ね65℃前後で余裕のある状態。そして空冷クーラーでは、CPUが許容する最大温度90℃で張り付くことが多かった「CINEBENCH R23」でも87~90℃で推移するなど、やはり「Lumen S36 RGB」の冷却性能はかなり優秀。動作クロックも前者が4.60GHz、後者も4.50GHzで安定しており、ブースト機能の能力を最大限に引き出すことができている。
ファン回転数は、「OCCT 9.0.5」が1,800rpm前後、「CINEBENCH R23」がフル回転の1,900rpm前後まで上昇。ノイズレベルはそれぞれ41.5dBAと44.9dBAで、Core i9-11900Kの「Adaptive Boost」有効時と同様、ノイズは明らかに増えているものの、不快に感じるほどではなかった。
Fractalブランドとしては、コストパフォーマンスモデルに位置付けられる今回のオールインワン型水冷ユニット新製品。比較的手頃な価格だけに、冷却性能もそれに比例しているかと言えば、もちろんそうではなかった。360mmサイズラジエターは冷却性能には絶対的に有利だし、3基の120mmファンは360mm幅からエアフローを生み出し、実に頼もしくCPUを冷やし続ける。熱処理が難しいRyzen 7 5800Xのブースト機能の能力も最大限に引き出せている点は、冷却能力の高さを物語るトピックとなるだろう。
「Lumen S36 RGB」の製品サイトでは、カラーの演出が全面に打ち出されている印象だが、これを効果的に楽しめるPCケースは数多く取り揃えられている。PCケースのスマートな工作物は、オールインワン型水冷ユニットにも引き継がれており、随所にFractalらしさを感じる事ができた。
PCケースほどではないにせよ、多くの選択肢が市場に溢れているオールインワン型水冷ユニット。モデル選定の決め手が「Fractalだから」というパターンは実際に多いだろう。一気に6モデルをリリースする強気な姿勢は、ブランドの強み。Fractal人気の健在ぶりを、オールインワン型水冷ユニットの新製品から改めて知る事になった。
協力:Fractal Design
株式会社アスク