エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1064
2021.10.20 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
G-GEAR「CST1250 TGP」 (BTOカスタマイズで選択可能) 製品情報(ツクモ) |
ショップオリジナルのPCパーツと聞いて、あまりポジティブな印象を受けない人も少なくないだろう。その手の製品は、大抵は大陸の工場から安価に買い付けたパーツにオリジナルのパッケージをあしらい、最安クラスのコストパフォーマンスモデルとして売り出されることが多い。そうした事情からクオリティで一歩譲るイメージが根強く、実際にその通りの製品が大半を占めるのが現実だ。
ツクモ「G-GEAR」ブランドでは、BTOで選択可能なオリジナルの電源ユニット「G-GEAR電源」を展開。今年の4月から販売を開始している |
ところが今回取り上げるツクモの「G-GEAR電源」は、一般的なショップオリジナルのパーツとは、だいぶ事情が異なる。ゲーミングPCブランド「G-GEAR」の名を冠したオリジナルの電源ユニットは、世界トップクラスの電源メーカーであるCWT(Channel Well Technology/僑威科技/本社:台湾)とのタッグで誕生した製品。出自の怪しい実質的なノーブランド品とは、まったく性格の違うプロダクトというわけだ。
パーツメーカーとしては老舗と言える、1993年創業の台湾CWT。電源関連なら何でもござれ、幅広いカテゴリ向けの電源製品を手がけている |
1993年に設立されたCWTは、アジアを中心に複数の開発・生産拠点を構え、設計から製造までの全行程を自社内で完結できる、一貫した生産能力を備えている。PC用の電源ユニットをはじめ、家電製品や医療機器などの電源、セキュリティシステム用電源、産業用電力製品や電気自動車の充電スタンドに至るまでを手がける、電源製造のスペシャリスト。特にPC用電源ユニットの分野では、世界でも有数のOEM/ODMメーカーとして知られている。
トップメーカーの製造による由緒正しい電源ユニット。BTOメニューから選択できるだけでなく、一部店頭販売も行われている |
なお「G-GEAR電源」のラインナップは、80PLUS TITANIUM認証の1250Wモデル「CST1250 TGP」と、80PLUS GOLD認証の850Wモデル「CSE850S GGP」からなる2モデル構成。いずれも「G-GEAR」のBTOメニューにおけるカスタマイズで選択可能なほか、850Wモデルは店頭にて単体販売も行われている。今回はその中から、1250Wモデルの「CST1250 TGP」を借り受け、検証を行っていく。
ここで今回主役として取り上げる「CST1250 TGP」の概要を確認しておこう。システム負荷50%時において94%以上の電力変換効率を発揮する80PLUS TITANIUM認証を取得した電源ユニットで、容量は1250W。シングルレーン設計の+12Vは最大104.16Aもの大出力に対応、ウルトラハイエンド構成のシステムを難なく駆動させることができる。
信頼性に優れたコンポーネントで構成された、大出力対応の1250W電源。80PLUS TITANIUM認証を取得している「G-GEAR電源」の上位モデルだ |
部材にもしっかりコストをかけた設計で、コンデンサは一次側・二次側ともに日本メーカー製の105℃コンデンサを採用。さらに日本の電力環境に最適化された低電圧動作回路が組み込まれており、仮に100Vを10%下回るほど電圧が低下した場合でも安定して動作するという。このあたりの設計マインドは、ツクモとCWTの強固なパートナーシップによるものだろう。
そして冷却機構には、静音・高耐久な流体軸受を採用する大きめサイズの135mmファンを搭載。システム負荷に応じて最適な回転数で動作する仕様だ。
「CST1250 TGP」のケーブルは、高級モデルにしか採用されないスリーブケーブルだ |
なおケーブル仕様は、すべてが着脱式コネクタで構成されるフルモジュラータイプ。さらにそのケーブルには、個別にスリーブ化が施された「ウィーブケーブル」が採用されている。スリーブケーブル化は電源ユニットにおける上級者カスタムの定番。それが標準で採用されているのは、ごく限られた高級モデルのみ。「CST1250 TGP」のグレードを推し量る上でも、見逃せない要素だろう。