エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1065
2021.10.23 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは、より実際のゲームプレイに近い負荷をかけるべく、ゲーム系ベンチマークによる挙動の変化を見ていくことに。まずはMMORPGの人気タイトル「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークをチョイス、グラフィックス設定を「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットにセットして動作させることにした。テスト時間はこれまで通り30分間だ。
旧テストからスコア指標が変更されてやや重めになったこともあり、消費電力は最大564Wに達していた。システム負荷は約75%と言ったところ。ピーク時の負荷は「3DMark」より大きかったことになる。
やはり不規則な負荷がかかるゲーム系ベンチマークとあって、グラフ波形は常に上下に動いている。若干の下振れも発生しているようで、ここにきて12Vがほんの少し定格を割っている点も目を引く。
ただし電圧の数値を追っていくと、12.038Vまたは12.091V、時折12.144Vを出力しているパターンが続き、全体の変動幅もわずか1.3%。似通ったパターンの電圧値で、なおかつ決まった範囲に変動が収まっていることが分かる。微細な変動こそあれど、大局的には安定していると言って差し支えないだろう。
最後は同じゲーム系のベンチマークテストから、より重量級な「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークをチョイス。カスタムで最も負荷が大きくなるよう項目を設定し、解像度3,840×2,160ドットで30分間ループ実行させることにした。
なお、テスト中における消費電力は最大572W。負荷率は約76%で、先ほどの「FFXIV」をやや上回る強めの負荷がかかっていたことになる。
こちらもグラフ波形は「FFXIV」のパターンと似ており、常時繰り返し変動が起きていることが分かる。12Vの最小値はほんの少し定格を割った11.986Vで、最大値はやや上振れ。それでも全体の変動幅は約1.7%ほどと、控えめな範囲に収まった。ここまでの検証でも言える通り、負荷のかかり方が変わっても常にほぼ同じ変動幅で電圧を出力できている点はさすが。十分に信頼のおける安定した動作だ。
秋葉原のパーツショップでもFSPの電源ユニットは評判が高く、その中でもトップのセールスをマークしている「Hydro GSM Lite PRO」シリーズ。現時点ですでに成功した製品という評価を市場から与えられているわけだが、信頼性の高さは価格以上のものがあり、高品質なコストパフォーマンスモデルを求める向きには魅力的な選択肢だ。発売からそれほど間を置かずにヒット作の仲間入りをした理由にも納得がいく。
FSP電源トップの売れ筋シリーズ。大手ショップにおいても、電源ユニット全体で一二を争う人気があるという |
必須のケーブル以外が着脱式であれば使い勝手はフルモジュラーと変わりがないし、ケーブル自体もフラットで扱いやすい。奥行きも140mmサイズに短く収まっており、八角形グリルの内部に収まった冷却ファンの動作も静粛そのもの。セミファンレス動作や特別なギミックなどは非搭載だが、電源ユニットに本来求められる安定性にはそれほど関係がない要素だ。
まさにいぶし銀なモデルが多いFSPらしい製品。ちょうどいい容量バリエーションを含め、メインストリーム層が求める“お手頃価格で安心な電源”という条件をしっかり満たした良作と言える。
協力:FSP GROUP Inc.
株式会社アユート