エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1069
2021.11.01 更新
文:撮影・藤田 忠
今回は諸事情で、撮って出しレビュー恒例の分解フォトセッションはお休みとなる。代わりという訳ではないが、「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」を使ってデュアル水冷マシンを実際に構築。PCケースに組み込んでみたからこそ分かる「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」のポイントをお伝えしていこう。
なおパフォーマンステストを含め、Ryzen 7 5800Xや、MSIのハイエンドX570Sマザーボード「MEG X570S ACE MAX」、360mmラジエターを採用するCPUクーラーのMSI「MPG CORELIQUID K360」などを組み合わせてシステムを構築、ミドルタワーケースのFractal Design「Define 7」に組み込んでいる。
MSIハイエンドマザーボード「MEG X570S ACE MAX」。超堅牢な電源回路など魅力いっぱいの1枚になっている | 360mmラジエターを採用するオールインワン型水冷ユニット「MPG CORELIQUID K360」。CPUウォーターブロックの大型LCDがポイント |
概要でもお伝えしたように、「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」はCPU向けのオールインワン型水冷ユニットと異なり、ウォーターブロックの取り付けなどは一切ない。そのため通常のグラフィックスカードとの工程差は、ラジエターの取り付けのみになっている。
正直、PCケース選びさえ失敗しなければ組み込みは非常に簡単だが、間違うとPCケース買い換え一直線になってしまう。グラフィックスカード自体は、標準的なサイズだが、ポン付けするならPCケーストップ面へのラジエター設置が必要になる。本来、ラジエターファンの取り付け向けを変更することで、ラジエター設置場所は自由に選べるのだが、「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」ではファン電源ケーブルが配線済みなうえ、ウォーターチューブ部とタイラップで固定。さらにラジエターへのファン固定に使われているネジは、PCケースフレームを挟んでファンを固定することを想定していない短いタイプになっている。ケーブルの再配線や別途ネジ(UNC No.6-32規格)を用意すれば対応できるが、ひと手間必要なのは覚えておきたところ。
また、ウォーターチューブがグラフィックスカード側面から出ているため、PCケースの幅に余裕が必要。マザーボードの取り付けベースから、180cm程度のスペースが欲しい。今回使ったFractal Design「Define 7」のように、3スロット占有グラフィックスカードの縦置きにも対応するモデルであれば余裕だろう。
グラフィックスカードの取り付け工程は従来とまったく同じなので戸惑うことはない | PCケーストップに240mmサイズラジエターの取り付けスペースが必須になるが、その点を押さえておけば導入は簡単だ |
ファンの固定に使われているネジ。同じMSI製オールインワン型水冷ユニットに付属するネジと比べて、若干短く、PCケースフレームを間に挟めないことも | ファンの向きを変えて、ラジエター→ファン吸い出しにする場合は、タイラップを切ることなく可能だ |
続けて、用意したMSIのCPU向けオールインワン型水冷ユニット「MPG CORELIQUID K360」と合わせてデュアル水冷を構築してみた。「Define 7」は、フロント360mmサイズラジエターに対応するので、フロントにCPU向けラジエターを固定、トップに「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」のラジエターを固定している。「Define 7」の組みやすさも手伝い、組み立て作業はサクサクと進んだ。
大型の「Define 7」だけあって、余裕を持ってデュアル水冷化 | MPG CORELIQUID K360搭載のRGB LEDファンはあまり活かせないが、PCケースフロントにラジエター→ファン吸い出しの順に固定 |
ここからはFractal Design「Define 7」で構築したデュアル水冷PCを使って、「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」のパフォーマンスをチェックしていこう。
パフォーマンステストは、「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」のデフォルトに加え、「GeForce Experience」に含まれる簡易自動オーバークロック機能を使ってオーバークロック(OC)した状態で行っている。「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」のPower Limit(TGP)設定は最大でも100%となっているため、OCの効果は微々たるものだが、ブーストクロックが41MHz、メモリクロックが25MHz引き上げられている。
テストには8コア/16スレッドCPUのRyzen 7 5800Xを利用している。360mmラジエターで、最大限の性能を引き出している | MSI統合ユーティリティの「MSI Center」に「Graphics Fan Tool」を導入。VGAクーラーファンとラジエターファンはともにセミファンレスで動作が可能だ |
「GeForce Experience」の「パフォーマンス」を選択することで、実行できる簡易OC機能。「自動調節を有効にする」のスイッチをオンにして、待つだけで作業は完了する |
「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」の各種クロックは、リファレンス仕様になっている | Power LimitのMaximum値は、残念ながら100%だ。とは言え、高い冷却性能で、実ブーストクロックは1965MHzまで伸びていた |
簡易OC実行後。デフォルトから若干クロックが伸びており、実ブーストクロックは、GeForce RTX 30シリーズのGPUコアクロックの壁となる2GHzに届いている |