エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1069
2021.11.01 更新
文:撮影・藤田 忠
ゲーミングパフォーマンスのチェックに続いては、「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」で組んだデュアル水冷化マシンの消費電力を確認していこう。一定時間高負荷をかける「3DMark」のストレステスト「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を利用。実行中の最高値を高負荷時、OS起動後10分程度、なにもせず放置した状態をアイドル時とした。消費電力はシステム全体で、ラトック製ワットチェッカー「RS-WFWATTCH1」で記録している。
高負荷時の消費電力は400W台と、最大TGPが320WとなるGeForce RTX 3080に、Ryzen 7 5800Xや2基のオールインワン型水冷ユニットで構成されたマシンとしては妥当なところだろう。
80PLUS認証電源ユニットは50%負荷時の変換効率が最も良いので、今回のテストのように1,000Wクラスが理想だが、「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」のデータシートにあるように750Wでも問題ない。
最後はオールインワン型水冷ユニットを搭載する「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」の最大トピックとなる冷却性能を、動作音とともにチェックしていこう。
モニタリングソフトウェアの「HWiNFO64 Pro」を利用して、「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」実行中のGPUコア温度(GPU Temperature)、GPUホットスポット温度(GPU Hot Spot Temperature)、GPUコアよりも高発熱になるGDDR6Xメモリの温度となる(GPU Memory Junction Temperature)を記録。テスト実行中の推移に加え、平均温度を算出している。
すっかり寒くなっている室温22℃前後の環境を考慮しても、GPUコア温度はオーバークロック時でも平均57.29℃。ホットスポット温度でも平均68.44℃と、空冷VGAクーラーとは段違いの結果になっている。VGAクーラー次第では90℃台に達するメモリも、80℃台に抑え込んでいる。さらにこの冷却性能を発揮しつつ、動作音は40dBAを切っていた。計測はテストマシンを床に設置した際に、頭が位置するPCケーストップから50cmの位置で行っているが、ほかのテストを含め、ラジエターファンの回転数は1,100rpm(30%台)とあって風切り音などが気になることはなかった。
ただ、CPUに連続して100%負荷がかかる作業では、3基のファンを備える360mmラジエターの「MPG CORELIQUID K360」のファン回転音が耳に付くようになるので、デュアル水冷時は環境に合わせてファンコントロールが必要になるだろう。
高コストかつ高難易度のカスタム水冷を除くと、限られたBTOカスタマーのマシンを購入するのが主だったCPUとGPUのデュアル水冷を比較的容易に導入できる。さらに抜群の冷却性能によって、GeForce RTX 3080のポテンシャルを最大限に引き出すことができる「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」は、魅力的な1枚と言える。
誰でも高冷却な水冷グラフィッスカードを導入できる「GeForce RTX 3080 SEA HAWK X 10G LHR」 |
PCケーストップ面への実寸280mm以上のラジエター搭載スペースや、ウォーターチューブの取り回しを考えたPCケース幅が必要と、多少PCケースを選ぶカードである点は事実。しかし水冷グラフィックスカード&デュアル水冷というPC自作の憧れが実現できるなら、決して高いハードルではないはずだ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社