エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1070
2021.11.04 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
Intel「Core i9-12900K」 実勢売価税込80,000円前後(2021年11月4日22時発売) 製品情報(Intel) |
日本時間の2021年11月4日22時、開発コードネーム「Alder Lake-S」ことIntelの最新CPU「第12世代Intel Coreプロセッサ」の発売が開始された。その最大の特徴は、シングルスレッドや並列度の低いタスクに最適化した高性能な「Performance-core」(以降:Pコア)と、並列度の高いワークロードやバックグラウンドタスクに最適な高効率な「Efficient-core」(以降:Eコア)を組み合わせた「ハイブリッド・アーキテクチャ」を採用する点だ。
「Pコア」と「Eコア」の2種類のコアを1パッケージにした「ハイブリッド・アーキテクチャ」を採用。なお「Pコア」はハイパースレッディング機能に対応する |
これはArm系のプロセッサで採用されている「big.LITTLEアーキテクチャ」と同様の技術で、パフォーマンスを犠牲にすることなく消費電力を抑え、電力効率を高めることができる。さらに「第12世代Intel Coreプロセッサ」では、Windows 11と連動して動作する「Intel Thread Director」機能を搭載。スレッドごとのランタイム命令をナノ秒単位で監視して、各種処理を最適なコアに渡すことで「ハイブリッド・アーキテクチャ」の性能を最大限に引き出すことができるという。
「Intel Thread Director」によって、「Pコア」と「Eコア」に効率よく処理が振り分けられる。なおOSには最新のWindows 11が必要になる |
ちなみに「Pコア」として内蔵されるのは、これまでIntel Coreプロセッサで採用されていた「Cove系」最新コア「Golden Cove」だ。IPCは第11世代Intel Coreプロセッサの「Cypress Cove」から約14%、第10世代Intel Coreプロセッサの「Sunny Cove」からは実に28%も向上しており、シングルスレッド性能には大いに期待ができる。また「Eコア」で採用されている「mont系」の最新コア「Gracemont」でもIPCは「Sunny Cove」とほぼ同等とされており、バックグラウンド処理や、ゲームをしながら配信を行うような並列処理でも速度低下を抑えることができるワケだ。
「Eコア」もIPCだけなら「Sunny Cove」に匹敵するパフォーマンスを発揮。さらにクロックが控えめのため電力効率にも優れるのが特徴だ |
Core i9-11900Kとの比較では、ゲーム性能は最大で1.4倍以上向上しているものもあるという |
Ryzen 9 5950Xとの比較でも多くのゲームで10%以上高いパフォーマンスを発揮 | 「Pコア」と「Eコア」の組み合わせながらコア数も増加したため、クリエイター向け処理も大幅に向上 |
また電力制御機構も改良され、これまでのTDPやPL1/PL2といった指標がなくなり、「Processor Base Power」と「Maximum Turbo Power」に変更されている。基本的には前者がこれまでのTDPに、後者がPL2に相当するが、「第12世代Intel Coreプロセッサ」では「Maximum Turbo Power」が長時間継続できるようになった。当然ながら、それに耐えられるマザーボードの電源回路とCPUクーラーの冷却性能が要求されるものの、パフォーマンスアップに一役買っているのは間違いない。
「第12世代Intel Coreプロセッサ」では、マザーボードの電源回路やCPUの冷却に問題がなければ、これまで瞬間的だったPL2の状態を長時間維持できるようになった |
その他、コンシューマ向けCPUでは初のDDR5メモリやPCI-Express5.0に対応。製造プロセスは10nm Super Finを改良した「Intel 7」(10nm Enhanced SuperFin)、ソケットは新設計のLGA1700を採用する。なお今回発売が開始されたのは最上位モデル「Core i9-12900K」を筆頭に、Core i9が2モデル、Core i7が2モデル、Core i5が2モデルの計6モデル。いずれもオーバークロックに対応し、グラフィックス機能を内蔵しないKFモデルも用意されている。
PCI-Express5.0については、いまのところ対応機器はないが、DDR5メモリはCPUの解禁に合わせて複数メーカーから発売が開始される |