エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1073
2021.11.12 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
高速なNVMe M.2 SSDの性能を引き出すため、「MPG Z690 CARBON WIFI」ではすべてのM.2スロットにM.2 SSD用ヒートシンク「M.2 Shield Frozr」を搭載している。特に最上段のスロットは、裏面にもサーマルパッドとメタルプレートを備え、両面から放熱することでサーマルスロットリングを抑制し、常に安定したパフォーマンスが発揮できるという。
そこで今回は「CrystalDiskMark 8.0.4」をデータサイズ64GiB、テスト回数を9回に設定して3回連続で実施し、その温度と転送速度を確認してみることにした。なお「HWiNFO」では、SSDのログがうまく取得できなかったため、温度は「CrystalDiskInfo 8.12.12」、転送速度は「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果を採用している。
ヒートシンクなしの「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 | ヒートシンク有りの「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 |
ヒートシンクなしの状態では、テストを開始すると温度が一気に上がり75℃を記録した。その後はサーマルスロットリングによって、温度の上昇は抑えられるが、転送速度は1,000MB/sec台に落ち込んでしまう。一方、ヒートシンク搭載時は3回目のテストでも最高63℃で温度が頭打ち。転送速度もシーケンシャル読込が6,942MB/sec、書込が5,223MB/secで、PCI-Express4.0(x4)SSDの性能を最大限に発揮することができる。
ヒートシンクなし:アイドル時のサーモグラフィ | ヒートシンクなし:高負荷時のサーモグラフィ |
ヒートシンク有り:アイドル時のサーモグラフィ | ヒートシンク有り:高負荷時のサーモグラフィ |
またサーモグラフィの結果を確認すると、ヒートシンクなしの状態では高負荷時は100℃を超え正直常用はためらわれる結果になった。高速なNVMe M.2 SSDを使用する際には、必ず「M.2 Shield Frozr」を搭載するようにしたい。
ハイエンドモデル顔負けの20フェーズにおよぶ堅牢な電源回路に加え、「MPG Z690 CARBON WIFI」では従来から冷却機構も大きく改良されている。そこで非常に負荷の高い「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使い、MOSFETの温度がどのように変化するのかチェックしていこう。なお今回使用しているオールインワン型水冷ユニット「MEG CORELIQUID S360」にはウォーターブロック部分に空冷ファンが搭載されているが、そのままにした状態と、ヒートシンクの周囲をプラスチックのカバーで覆いファンから吹き付ける風を完全にカットした過酷な条件でも計測を実施した。
「Maximum Turbo Power」が241Wに設定されているCore i9-12900Kでは、CPU向けのストレステストでも、システム全体で370Wもの電力を消費している。しかし、MOSFETの温度はファンを有効にした場合は最高64℃、ファンを無効にした状態でも最高72℃で頭打ち。CPU周りのエアフローが厳しい、水冷システムを使用する場合でも、大型ヒートシンクや2オンス銅層を備えたPCBによって、電源回路はしっかりと冷却できていることがわかる。