エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1076
2021.11.20 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/pepe(撮影協力)
最終セッションでは、オープンエアモードで実際に構成パーツを組み込んでみよう。前面に強化ガラスを装着するあたり、単なる従来型のオープンフレーム型PCケースに留まらない、魅せる要素がプラスされている。両翼「WINGS」を広げた状態で設置できるスペースの確保は課題だが、クリアできればこれほど存在感たっぷりなPCはないだろう。従来型では飽き足らず、他人とは違うPCが欲しいなら、設置場所の捻出に頭を悩ませつつ、組み込みセッションをご覧頂ければと思う。
まずは「MAIN PANEL」裏面の下部に電源ユニットを搭載してみよう。作業の始めは、電源ユニットの背面から「PSU BRACKET」をインチネジで固定。この状態で「PSU COVER」に本体半分が隠れる格好で「MAIN PANEL」裏面から縦列2本、底辺2本の「THUMB SCREW #6-32×6」により取り付け作業を行う。ちなみにこのスタイルだけに、電源ユニットの奥行きはさほど気にする必要はないだろう。さらに固定した状態でもモジュラーケーブルの抜き挿しはし易く、付け替えや増設も難なく行う事ができる。
搭載テストにはCooler Master「V850 Gold-V2」(型番:MPY-850V-AFBAG)を用意。80PLUS GOLD認証のフルモジュラー式電源ユニットで、135mm冷却ファンを搭載。なお奥行きは160mm |
フルモジュラー式のケーブル排出方向には、3本の面ファスナーを装備。ケーブルが伸びる方向に合わせ、配線を束ねておく事ができる |
次に「MAIN PANEL」表面に、マザーボードを組み込む。検証には最新のASUS「ROG MAXIMUS Z690 HERO」を用意。第12世代Intel Coreプロセッサに対応するATX規格マザーボードだ。
さすがにオープンフレーム型だけあって、作業は楽に行う事ができた。敢えて注意点を挙げるなら、近頃のマザーボードには立派なヒートシンクが搭載されている事もあり、かなりの重量になる。オープンエアモードにおけるマザーボードの設置は立てた状態だが、ネジ留めは一度寝かせた上で作業を行うといいだろう。
ちょっとしたトラブルに遭遇。予め合計9本が装着済みのスタンドオフ(台座)だが、上段左の1本だけなぜか「E」(E-ATX)に搭載されていた。その他は「A」(ATX)に装着されているだけに、ここだけは右隣の「A」に付け替える必要があった |
次に水冷ユニットの搭載作業を行った。両翼「WINGS」には最大360mmサイズのラジエターが設置できる。左右いずれも使用可能だが、チューブの配線やウォーターブロックの形状、チューブの抜ける方向等を総合的に考慮し、ラジエターの設置方向を選択すればいい。
今回の搭載テストにはCooler Master「MasterLiquid ML360 Illusion」(型番:MLX-D36M-A18P2-R1)を用意。また第12世代Intel Coreプロセッサが採用するLGA1700専用のリテンションを別途取り寄せた。なお今回は360mmサイズラジエターを左側の「WINGS」に設置している。
「MasterLiquid ML360 Illusion」に搭載される3基の120mmファン「MasterFan MF120 Halo」は、Addressable Gen.2 RGBを搭載するため、電源コネクタケーブルとは別にARGB LED用コネクタケーブルも接続する必要がある。3基分と考えると煩雑なイメージだが、搭載してみると思ったほどではなく、十分に許容範囲内。配線を魅せるという概念は無いだろうが、オープンフレーム型PCケースなら、その程度は露出してもいいのではないだろうか。少なくとも筆者は気にならなかった。
なおポンプ一体型のウォーターブロックを固定する際に、思わぬアクシデントに見舞われた。マザーボードを搭載した状態でウォーターブロックの固定作業を試みたところ、CPUクーラーメンテナンスホールのカットが中途半端で、CPUソケット周辺にある4つの穴が全て完全に露出できていない。つまりバックプレートが背面から装着できず、やむなくマザーボードを一旦取り外す事になってしまった。
カットアウト自体は幅約145mm、高さ約145mmだが、VESAマウント時やHDD固定に使用するピンの存在が邪魔をしているようで、メンテナンスホールの役割を十分に果たしていない。オールインワン型水冷ユニットに限らず、多くの空冷CPUクーラーでもバックプレートは使用するだけに、この点はしっかり頭に入れておきたい。