エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1084
2021.12.10 更新
文:藤田 忠/撮影:松枝 清顕
BIOSTAR「Z690 VALKYRIE」は、電源回路に非常に高い負荷がかかるシーンでも安定動作できるように、計4基の小口径ファンをVRM冷却ヒートシンクに搭載しているのが、大きなトッピクになる。ここでは「CINEBENCH R23」の「Minimum Test Duration:30 minutes」を利用して、MTP241Wとなる最高クラスの負荷を電源回路にかけた際の温度をチェックしておこう。なお、テストはVRM冷却ファンを停止した状態も行っている。
CPUがフルロードされるとCPUコア温度は90℃を超えるため、VRM冷却ファンも最大回転に達し、かなりうるさくなる。しかし、温度は最大でも48℃と、ファンを停止した状態とは最大で19℃も差が出ている。バラック組みかつ室温が17℃程度なのもあるが、Core i9-12900Kをフルロードするシーンでも、電源回路は不安のない温度を維持できるのは間違いなしだ。気になるVRM冷却ファンの動作音は、環境に合わせて「A.I FAN」を使用して調節しよう。
VRM冷却ファンの回転数は「A.I FAN」の「MOS FAN」でカスタマイズ可能。100℃の最高温度時の回転数を調節して静音化したい |
テストセッションのラストは、ピーク性能が7,000MB/secに達するPCI-Express4.0(×4)接続の超高速なNVMe M.2 SSDの性能を安定して引き出すM.2ヒートシンク「M.2 Cooling Protection」の冷却性能を確認していこう。
CPUに直結されている最上段のM.2スロットを使用 | SAMSUNGのPCI-Express4.0(×4)接続NVMe M.2 SSD「980 Pro」の容量2TBモデルを使ってテストしている |
ストレステストには「CrystalDiskMark 8.0.4」を利用し、データサイズ64GiB、テスト回数を9回に設定して3回連続で実行。その際の温度を「HWiNFO64 Pro」で取得している。
公称ピーク性能が7,000MB/secに達するSAMSUNG「980 Pro」だが、M.2ヒートシンク装着時は最高54℃とまったく不安のない温度になっている。今回のテストではM.2ヒートシンクを外した状態でもサーマルスロットリングは発生しなかったが、アイドル時で5℃、高負荷時に至っては23℃もの温度差が出ているので、「M.2 Cooling Protection」は、ほとんどエアフローのない水冷CPUクーラー搭載環境でも、しっかりと冷却効果を発揮していると言える。
フラッグシップに相応しい20フェーズの堅牢な電源回路に加え、水冷CPUクーラー使用時でも温度を低く保つことができる、強力なVRM冷却システムを備えるBIOSTAR「Z690 VALKYRIE」は、「Maximum Turbo Power」が241Wに達するCore i9-12900Kの性能を最大限に引き出すことができた。そのうえ、6,000MHzの高速なDDR5-6000メモリも安定して動作していたように、第12世代Intel Coreプロセッサを使った新世代プラットフォームの1台を安心して組める1枚になっている。
癖はあるが、Core i9を安心して組み合わせられるBIOSTAR「Z690 VALKYRIE」 |
他社と比べるとCPU Power Limitの設定がいまひとつ分かりづらい点や、環境に合わせて回転数を調節したいVRM冷却ファンは初心者にはちょっと敷居が高いかもしれない。しかしこれまでPC自作を嗜んできたユーザーなら、問題なく使いこなせるだろう。
協力:BIOSTAR Microtech International
株式会社アユート