エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1085
2021.12.12 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
「Click BIOS 5」に用意されている「Memory Try It!」を使えば、XMPプロファイルを使うことなくメモリのオーバークロックも比較的簡単に行うことができる |
「MEG Z690 UNIFY」では、第12世代Intel Coreプロセッサで始めて対応した最新メモリDDR5が利用できる。さらに「Click BIOS 5」の「Memory Tri It!」には、簡易的なオーバークロックプロファイルが用意され、比較的簡単にメモリクロックを引き上げることができる。そこで今回はDDR5メモリのオーバークロックを試してみることにした。
SPD設定(DDR5-4800) | DDR5-5000 CL38設定 |
DDR5-5200 CL38設定 | DDR5-5400 CL40設定 |
定格(DDR4-4800 CL40)の他、レイテンシは緩めにDDR5-5000 CL38、DDR5-5200 CL38、DDR5-5400 CL40、DDR5-5600 CL42の4種類のプリセットを選択したが、DDR5-5400 CL40までならOSの起動、ベンチマークとも安定動作させることができた。
そしてメモリ帯域を確認すると、クロックが上昇するに連れて順当にスコアを伸ばし、DDR5-5400ではメモリリード・ライト・コピーすべてのテストで定格から約12%上昇した。またレイテンシを確認すると、DDR5-5000とDDR5-5200ではCL40からCL38に削減されていることもあり、レイテンシが低下。ただし、DDR5-5400ではCL40に設定されているため、DDR5-5200に比べるとわずかに上昇している。
「Click BIOS 5」の左上にある「GAME BOOST」を有効にするだけで性能を引き上げることができる |
テストセッションのラストは、簡単にCPUの性能を引き上げることができる「GAME BOOST」を試してみることにしよう。なおパフォーマンスをチェックするベンチマークテストには「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」「CINEBENCH R23」の3種類を使用した。
シングルスレッド処理時は「Eコア」は4,000MHz、「Pコア」は5,200MHzで動作 | マルチスレッド処理時は「Eコア」は3,800MHz、「Pコア」は5,000MHzで動作 |
「GAME BOOST」を有効にすると「Pコア」はシングルスレッド時こそ最高5,200MHzで定格から変わらないものの、マルチスレッド時は最高5,000MHzへと100MHz上昇。そして「Eコア」はシングルスレッド時が最高4,000MHz、マルチスレッド時が最高3,800MHzで、いずれも100Hz上昇している。
また「CINEBENCH」のスコアを確認すると、シングルコアテストは「Pコア」の最高クロックが変わらないこともありすべてのテストで約1%と微増に留まる。しかし、マルチコアテストではいずれも約3%スコアが上昇している。動作が不安定になることもなかったことから、動画のエンコードや、3DCGのレンダリングなどで少しでも性能を伸ばしたい場合には有効にしておくといいだろう。
当初はエントリークラスからミドルレンジモデルが中心だったIntel Z690チップセットマザーボードだが、解禁から約1ヶ月が経過し、ようやく各メーカーともハイエンド製品が充実してきた。今回の主役である「MEG Z690 UNIFY」もそのひとつだが、電源回路はIntel Z690マザーボードの中でも最高クラスとなる計21フェーズの強力な構成。さらに冷却システムも非常に優秀で、定格運用はもとより、オーバークロックでの動作も完全に視野に入ってくる。
以前に比べると落ち着いたデザインの製品が増えているハイエンドマザーボード。それでも完全にイルミネーションを排除した突き抜けたデザインを採用するのは「UNIFY」シリーズぐらいだ |
また計5基のM.2スロットや、デュアル2.5ギガビットLAN、Wi-Fi 6E無線LAN、フロントとリアのUSB3.2 Gen.2×2 Type-Cポートなど、高速なインターフェイスも充実しており、ゲーミング向けはもちろん、クリエイター向けのハイエンドワークステーションとしても力を発揮してくれるだろう。
そしてハイエンドモデルでは未だに貴重なイルミネーションを完全に省略したフルブラックなデザインも大きな特徴だ。これまでの「UNIFY」シリーズと同様「質実剛健」のコンセプトは、最新作である「MEG Z690 UNIFY」でもブレることなく継承されていた。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社