エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1087
2021.12.20 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
「UEFI BIOS Utility」の右上に実装されている1クリックチューニング機能「AI Overclocking」で、簡単なオーバークロックを試してみることにした |
テストセッションのラストは、1クリックでCPUの性能を引き上げることができる簡易チューニング機能「AI Overclocking」によるオーバークロックを試してみることにした。なおベンチマークテストには「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」「CINEBENCH R23」の3種類を使用した。
マルチスレッド処理時は「Pコア」は4,900Hz、「Eコア」は3,900MHzまでクロックが上昇 | シングルスレッド処理時は「Pコア」は最高5,100MHz、「Eコア」は3,900MHzまでクロックが上昇 |
「AI Overclocking」を有効にするとシングルスレッド処理時は「Pコア」が最高5,100MHz、「Eコア」が3,900MHzまでクロックが上昇した。またマルチスレッド処理時でも「Pコア」は4,900MHz、「Eコア」は3,900MHzを維持することができ、定格からは確実にクロックが上昇している。
ベンチマークテストの結果はいずれもシングルコアテストが約2%、マルチコアテストでは差が広がり約5%スコアが上昇した。処理時間の短い、ライトな作業では影響は軽微だが、長時間のレンダリングや動画のエンコードなどでは作業時間に差が出てくることだろう。
最後に消費電力を確認すると、「AI Overclocking」を有効にすると最大消費電力は約70W増加した。ただし、「TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4」では堅牢な電源回路と優秀な冷却システムを採用しているおかげで、テスト中に不安定になることはなかった。
今回のレビューでは、高い耐久性とコストパフォーマンスの高さから人気のASUS「TUF GAMING」シリーズ最新作「TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4」の検証を進めてきた。Intel Z690チップセットのハイエンドモデルに比べるとさすがに規模は小さくなっているものの、電源フェーズは計15フェーズに達し、メインストリームクラスの製品では間違いなく最大級だ。
さらに軍用グレードの「TUFコンポーネント」や、大型のアルミニウムヒートシンクを組み合わせることで、より長時間ブースト状態を維持できるようになった第12世代Intel Coreプロセッサの性能を引き出すことができる。
そしてやはり既存のDDR4メモリを利用できるのも大きなメリット。新規に組む場合でも入手性に問題がないのはもちろん、既存環境からのアップグレードであれば流用も可能なことから、導入コストを大幅に抑えることができる。
PCI-Express5.0(x16)スロットが1スロットに制限されていたり、一部M.2スロットのヒートシンクが省略されるなど、上位モデルに比べるとコストカットされている部分は確かにある。しかし、いずれもニッチな機能で大多数のユーザーにとって影響はほとんどないはずだ。その一方で、2.5ギガビットLANや、最高2,402MbpsのWi-Fi 6無線LAN、USB3.2 Gen.2×2 Type-Cといった多くのユーザーに求められる機能を網羅した「TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4」は、コストを抑えつつ最新プラットフォームへの移行を考えているなら力強い味方になってくれるだろう。
協力:ASUS Japan株式会社