エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1089
2021.12.27 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
続いて冷却性能や静音性について確認していこう。今回はCPU系とグラフィックス系の2種類のベンチマークに分けてそれぞれの温度、ファン回転数、騒音値をチェックしてみることにした。なおトップパネルは吸音材を貼り付けた静音パネルを搭載した状態と、メッシュパネルを搭載した場合の2種類の状態で計測を行っている。
アイドル時はいずれの環境でもCPU温度は35℃、ラジエターファンは回転が停止していることもあり、騒音値も暗騒音から+2dBAの34dBA台にとどまる。実際にテストをしていてもほとんど無音で、耳を近づけない限りファンの音が聞こえて来ることはなかった。
また高負荷時はトップ部にラジエターを搭載しているため、静音パネルを搭載した状態ではメッシュパネルに比べてCPUの温度は3℃、ファンの回転数は約350rpm高くなった。騒音値も静音パネル搭載時の41.6dBAに対して、メッシュパネル搭載時は38.7dBAで頭打ち。今回の検証では部屋の中の騒音源を出来る限りなくし、外部の音もしない深夜にテストを行っているが、メッシュパネルを搭載した状態ならノイズは全く気にならなかった。
続いてグラフィックス系のベンチマーク実行時の結果を確認していこう。「GeForce RTX 3080Ti VENTUS 3X 12G OC」では、GPU温度が80℃を超えないようにファンの回転数が調整されているようで、静音パネル搭載時はファンの回転数は2,200rpm台まで上昇するのに対して、メッシュパネル搭載時は1,900rpm台まで低下した。
ただし、騒音値については静音パネルによって吸収されることもあり、いずれも42dBA後半で横並びになった。さすがに静音というわけではないが、耳障りに感じるほどではなく、デスクの下などに配置すればゲームサウンドに紛れてしまうレベルだ。
テストセッションのラストは消費電力を確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は各ベンチマーク実行時の最高値を採用している。
CPUのみに負荷が掛かるCINEBENCH系のベンチマーク実行時で約263W、グラフィックスカードにも負荷が掛かる3Dベンチマーク時でも500W台前半までしか上がらず、今回使用した「MPG A850GF」にはまだまだ余力が残されている。さらにストレージやキャプチャカードなどを増設しても電力が不足する心配はないだろう。
マザーボードやグラフィックスカードはもちろんのこと、MSIではPCケースやオールインワン型水冷ユニットのラインナップもかなり充実している。今回はその中から静音性に優れるパーツをチョイスして、第12世代Intel CoreプロセッサをベースにしたPCを構築したわけだが、アイドル時はもちろん、CPUに最大限の負荷がかかる状態でも無理なく静音化が可能だった。
またグラフィックス性能については、第12世代Intel Coreプロセッサに加えて、MSI「GeForce RTX 3080Ti VENTUS 3X 12G OC」を採用したこともあり、現行では最高クラスのパフォーマンスを発揮する。
さすがにCPUのみに負荷をかけた場合に比べると騒音は増えてしまうが、ゲーム中はスピーカーやヘッドセットでサウンドを聞いていることを考慮すれば、全く問題にならないレベル。またフルHDクラスの液晶ディスプレイを使っているなら、グラフィックスカードをもう少し省電力なものに変更することで、より静音性を高めることもできる。
そしてMSIならCPUとメモリ以外、すべてのパーツを同一メーカーで揃えられるのも大きなメリット。これにより各種設定やリアルタイムモニタリングを単一のユーティリティで行える他、外観スタイルやイルミネーションにも統一感をもたせたPCを組み上げることができる。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社