エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1090
2021.12.29 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
続いてRyzen 5000シリーズのハイエンドモデルRyzen 7 5800Xによる検証を進めていこう。TDPはRyzen 9 5950Xと同じ105Wだが、CCDが1基のため熱処理が格段に難しくなっているCPUに対してどのような冷却性能を発揮するのだろうか。
TDPは105WながらRyzen 7 5800Xでは、1つのCCDに熱が集中するため、Ryzen 9 5950Xより熱処理は格段に難しくなる |
「OCCT 10.0.4」はこれまでのCPUと同じく、途中何度か温度が上昇する箇所はあるものの概ね60℃で推移する。そして、CPUクーラーによっては許容最大温度である90℃に貼りつことも多い「CINEBENCH R23」でも80℃前半までしか上がらず、Ryzen 7 5800Xに対しても十分な冷却性能を発揮する。
ファンの回転数は「OCCT 10.0.4」はRyzen 9 5950Xとほぼ同じ約1,100rpm、「CINEBENCH R23」は若干高く約1,500rpmだが、最高回転まではまだ500rpmほどの余裕がある。また騒音値は「CINEBENCH R23」では42.6dBAまで上がるものの、「OCCT 10.0.4」では37.1dBAに抑えられており、風切り音が気になることはなかった。
第12世代Intel Coreプロセッサに合わせて発売が開始された「iCUE H150i ELITE LCD」。熱処理が難しいと言われているIntel Core i9-12900Kに対して、定格設定はもちろん、リミットを解除した状態でも発熱を抑え込むことができ、その冷却性能はまさに期待通り。さらにRyzen 5000シリーズと組み合わせた場合なら、静音性を損なうことなくCPUのポテンシャルを引き出すことができる。
また自在にカスタマイズできる2.1インチ液晶の存在も大きなトピック。IPSパネルを採用しているため発色も美しく、画像データなども鮮明に表示させることができた。やや配線が煩雑なのは気になるところだが、これはイマドキのハイエンドオールインワン型水冷ユニット共通の問題で、機能とのトレードオフと考えれば許容できる範囲だろう。
最近では、マザーボードメーカーなども参入し、多くのラインナップが揃うオールインワン型水冷ユニットだが、「iCUE H150i ELITE LCD」はその中でも間違いなくトップクラスの冷却性能と多機能さを併せ持つ秀作モデルだった。
協力:CORSAIR