エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1091
2021.12.31 更新
文:撮影・松枝 清顕(解説)/ 検証セッション・池西 樹
虎徹MarkⅡから大きな変更点は見当たらないものの、まずは外観デザインを眺めてみよう。エッジの鋭い放熱フィンで構成されたヒートシンクに、ワイヤークリップでKAZE FLEX II 120を固定。受熱ベースから伸びるヒートパイプがヒートシンクを貫通した構造は、奇をてらわないサイドフロー型CPUクーラーのスタイルだ。
真正面から観察すると、KAZE FLEX II 120はヒートシンク全体をカバー。側面からまんべんなく風が当たる設計は、放熱フィン全体に良好なエアフローをもたらす事を意味する。
あらためて全景を見ると、虎徹MarkⅡ Rev.Bは大きすぎず、小さすぎない。全高154mmはほとんどのミドルタワーPCケースに収める事ができるだろうし、重量もヘビー級CPUクーラーの半分程度。実際に手に持つと思いの外軽く、マザーボードにも優しい冷却機器と言えよう。後述するネジ留めのリテンションも手伝って、輸送時にトラブルが起こる確率は低く、BTOのカスタマイズにも向く製品ではないだろうか。
サイズオリジナルCPUクーラーの特徴である、エッジの鋭い放熱フィン。虎徹MarkⅡ Rev.Bでも、「M.A.P.S」(Multiple Airflow Pass-through Structure)ナロータイプフィン構造を採用。形状が異なる2枚のフィンを組み合わせ、冷却ファンの風を効率良く吸い込む事ができる。
多重エアフロー透過構造を採用するヒートシンク。合計56枚で構成され、見た目にも仕上がりは美しい |
トップカバー(プレート)中央にはサイズのロゴマークがあしらわれている |
引き続き冷却ファンを取り外した状態で、虎徹MarkⅡ Rev.Bのヒートシンク構造および設計について、掘り下げて行こう。
設計面での主たるコンセプトは、隣接するメモリスロットにはみ出さない干渉回避型デザインだ。58mmという幅の狭いフィン設計「ナロータイプフィン構造」により、大型ヒートスプレッダを搭載する、ハイエンド志向のメモリとの干渉を回避している。
さらにヒートシンク自体をやや後方にずらす「オフセット設計」により、冷却ファンマウント位置とメモリスロットを共存させる事に成功している。加えて受熱ベースプレートの位置も、本体中心からオフセットすることでグラフィックスカードとの物理干渉の”可能性を低減”させているのも大きな特徴といえよう。