エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1092
2022.01.03 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
サイズ「虎徹 Mark II」 製品情報(サイズ) |
テストセッションのラストは、税込4,000円を切るコストパフォーマンスが魅力のサイドフローCPUクーラーサイズ「虎徹 MarkⅡ」だ。これまでの製品とはやや趣の異なるミドルクラスの製品だが、最新の第12世代Intel Coreプロセッサをどこまで冷やすことができるのか確認していこう。なおこちらもLGA1700用のリテンションが付属していなかったため「SCMK-1700」を別途用意した。
Core i9-12900Kに関しては、「Intel標準設定」でも100℃まで温度が上昇する。これにより、サーマルスロットリングが発生し、Package Powerは210W前後、動作クロックも4,500~4,600MHzまで低下しており、さすがにミドルレンジクラスのCPUクーラーには荷が重い。
ただし、Core i7-12700Kは最高で94℃、Core i5-12600Kは最高でも75℃で頭打ちとなり、十分に実用できるだろう。さらにファンの回転数が最高1,200rpmのため、静音性も非常に優秀だ。
期待以上のパフォーマンスを実現した一方で、発熱の多さも指摘されていたCore i9-12900K。確かに、多くのマザーボードメーカーがデフォルト設定にしている「リミット解除設定」では、Package Powerが280Wを超えることあり、今回の検証でも280mmラジエター以上のハイエンド水冷ユニットを組み合わせないと、CPU温度はTjunctionに設定されている100℃に達してしまう。
しかし、「Intel標準設定」であるPL1=PL2=241Wに変更すると発熱が大幅に低下。空冷クーラーでもハイエンドモデルなら90℃前後に抑え込むことができた。パフォーマンス面での影響も動作クロックが約100MHz、「CINEBENCH R23」のマルチコアテストの差は約1%とごくわずかしかなく、十分現実的な選択肢になる。
ライバルであるRyzen 5000シリーズに比べるとCore i9-12900Kの発熱が多いのは確かだが、「Intel標準設定」であれば決して“爆熱”ではないことが今回の検証でおわかりいただけただろう。さらに同じ第12世代Intel Coreプロセッサでも、「Maximum Turbo Power」が控えめに設定されているCore i7-12700KやCore i5-12600Kなら、「リミット解除設定」のママでも冷却のハードルはグッと低く、ミドルレンジクラスのCPUクーラーでの運用は、なんら問題が無い。