エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1095
2022.01.14 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
M.2ヒートシンクは、いまやNVMe M.2 SSDを運用する上での必須装備だ。低価格モデルの中には非搭載の製品もある中で、「B660 Pro RS」にはしっかり1スロット分のヒートシンクが標準装備されている。
今回はその冷却性能を検証するため、ベンチマークテストの「CrystalDiskMark 8.0.4」を動作させた際の挙動をチェック。SSDの性能を引き出せるかどうかを見ていこう。なお検証にあたっては、PCI-Express4.0(x4)に対応するCFD「PG4VNZ」シリーズの1TBモデル「CSSD-M2M1TPG4VNZ」を用意。データサイズ64GiB、テスト回数を9回に設定し、3回連続でベンチマークを動作させている。
CrystalDiskMark 8.0.4(ヒートシンクあり) |
「CSSD-M2M1TPG4VNZ」のスペックは、シーケンシャル読込7,000MB/sec、同書込5,500MB/sec、ランダム読込350,000 IOPS、同書込700,000 IOPSというもの。ヒートシンクを装着した状態では、ほぼ公称値に近いシーケンシャル速度が出ている。データサイズの都合でややランダム性能に影響は出ているものの、コントローラ温度も最大63℃に留まり、サーマルスロットリングが発生していないことはグラフ波形からも明らかだ。
「CSSD-M2M1TPG4VNZ」は、サーマルスロットリングのしきい値がやや低め(60℃台後半から70℃程度)に設定されているモデル。それでも十分な冷却能力をもつヒートシンクがあれば、問題なくパフォーマンスを引き出すことが可能だ。
CrystalDiskMark 8.0.4(ヒートシンクなし) |
参考までに、ヒートシンクを装着しない状態における挙動もチェックしておこう。「CrystalDiskMark 8.0.4」のスコアはいずれも3回目に計測した際のデータだが、ヒートシンク装着時に比べて大幅に低下。SSDのコントローラ温度が70℃を超えたことでサーマルスロットリングが発生し、速度を落とすことで温度上昇を抑えているという状態だ。
NVMe M.2 SSDの性能を引き出すためには、ヒートシンクによる冷却が必須であることがよく分かる。
ヒートシンクあり:アイドル時 | ヒートシンクあり:高負荷時 |
ヒートシンクなし:アイドル時 | ヒートシンクなし:高負荷時 |
また、動作中の様子をサーモグラフィーで確認すると、ヒートシンク装着時は熱が全体に均等に広がり、効率よく冷却できている。その一方でヒートシンク未装着の状態では、アイドル時から温度がやや高めなほか、高負荷時はコントローラ部分の表面温度が80℃近くまで上昇していた。性能だけでなくSSDの寿命を考慮しても、ヒートシンクの恩恵はかなり大きいと言える。
ミドルグレードのモデルを含む新CPUと新チップセットのマザーボードが登場したことで、第12世代Intel Coreプロセッサベースの自作はかなり敷居が低くなった。その最大の理由は価格面での手頃さで、それを可能にするラインナップの追加を待っていたという人は多いだろう。そうした向きに、ATXモデルで2万円を割り込む価格で手に入る「B660 Pro RS」は、魅力的な選択肢の一つになるはずだ。
単に機能面を考えれば、あまり新世代の製品であることを感じさせない、やや地味なモデルであることは確か。しかし新しいミドルCPUのパフォーマンスをしっかり引き出せる電源回路を備えつつ、最小限ながらM.2ヒートシンクや装甲スロットも搭載。追加でWi-Fiモジュールを組み込むことも可能で、必要な装備は無駄なく揃えられている。IPCが大きく引き上げられた第12世代のCPUを不安なく使いたいというニーズにシンプルに応える、注目のコストパフォーマンスモデルだ。
協力:ASRock Incorporation