エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1097
2022.01.25 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
CPU Core/Cache Current Limit Max.は370AとIntel Z690のハイエンドモデルよりやや低いものの、PL1/PL2はいずれもリミット解除となる4,095Wに設定されていた |
Intel B660マザーボードながら、合計17フェーズの強力な電源回路を搭載する「ROG STRIX B660-F GAMING WIFI」。「UEFI BIOS Utility」のリミット値を確認したところ事実上のリミット解除となるPL1:4,095W、PL2:4,095Wに設定されていた。そこで、テストセッションのラストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」の高負荷テストを実施して、CPUの性能を引き出すことができているのかチェックしてみることにした。
電源回路「VRM」の温度は「Armoury Crate」で測定をした |
Core i9-12900K搭載時のサーモグラフィ結果。高負荷時(画像右)にはCPUソケット上側、左側いずれのヒートシンクも温度が上昇し、MOSFETやチョークコイルの熱を効率よく放熱している様子が確認できる |
ストレステスト中の「Package Power」はCore i7-12700Kが約200W、Core i9-12900Kが約270Wで、いずれもIntelが設定している「Maximum Turbo Power」を上回る数値を記録した。電源回路の温度も前者で最高56℃、後者でも66℃で頭打ちとなり、冷却性能にも問題はない。
そこで「CINEBENCH」系の3種類のベンチマーク計測してみたところ、Core i7-12700KはもちろんCore i9-12900KでもIntel Z690チップセットのハイエンドモデルに匹敵するスコアを叩き出していた。「ROG STRIX B660-F GAMING WIFI」ならCPUの冷却さえしっかりとしてやれば、どのCPUを使用した場合でも長時間ブースト状態を維持することができるだろう。
最新のブースト機能や、グラフィックスカードの高性能化によって、以前に比べるとCPUのオーバークロックやマルチグラフィックスを使用する機会は減り、Intel Zシリーズのチップセットは必要ない人は多いのではないだろうか。しかし、Intel B/Hシリーズのチップセットを採用する製品は電源回路が控えめだったり、インターフェイスを一部省略したものが多く、敢えてIntel Zシリーズのマザーボードを選択している人もいることだろう。
その点「ROG STRIX B660-F GAMING WIFI」であれば、Core i9-12900Kの性能を最大限に引き出すことができる堅牢な電源回路と強力な冷却機構を搭載。さらにIntel B660チップセットモデルでは非対応の製品が多い、DDR5メモリやPCI-Express5.0といった最新規格にも対応している。インターフェイスも充実しており、Intel Z690の最上位クラスのモデルと比較しても不足しているのはThunderbolt 4や10ギガビットLANぐらい。一部のエンスージアストを除けば不満を感じることはないだろう。
Intel Z690チップセットは不要だが、オンボード機能や品質には一切妥協したくない。「ROG STRIX B660-F GAMING WIFI」はそんな厳しいニーズに応えることができる貴重な1枚だ。
協力:ASUS JAPAN株式会社