エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1103
2022.02.07 更新
文:撮影・藤田 忠
続いては爆熱と言われるCore i9-12900Kで、「Symphony 360 ARGB」の実力を試してみよう。ストレステストはRyzen 7 5800Xと同じく、「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」と、「OCCT 10.0.7:CPU(データセット 大、テストモード エクストリーム、45分間)」を使用。CPUの動作は、最大パフォーマンスを発揮した際の消費電力である「Maximum Turbo Power(MTP)」を241W(PL1/PL2:241W)に設定した状態を「Intel標準設定」、実質電力制限が外れた状態となる、MTP:4,096W(PL1/PL2:4,096W)に設定した状態を「リミット解除設定」として実行している。
CPU温度は「CPU Package」、動作クロックはPコア「P-core 0 Clock」、Eコア「E-core 8 Clock」の値でまとめている。
24スレッドで動作するCore i9-12900K。TDPは125Wになるが、性能を最大限引き出した際のシステム全体の消費電力は、300Wに達する | MSI「MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」は、UEFIの「OC」「CPU Cooler Tuning」から簡単にMTP=PL1/PL2を設定できる |
「Intel標準設定」時の動作クロック。マルチスレッド時はPコアがほぼ4.9GHzの4,897.6MHz動作になった。Eコアは3,698.2MHzだった | シングルスレッド処理時は、5,097.5MHzで、瞬間的に5,197.5MHzを記録している |
「Intel標準設定」では、「PL1 Power Limit」「PL2 Power Limit」ともに、241Wになっている | 「リミット解除設定」設定時は、「CPU Package Power」は最大253.430Wに達した |
まず多くの人が使いたいと思う「Intel標準設定」を確認すると、「CINEBENCH R23」実行時は、CPU温度は90℃を切る85~89℃で推移しており、温度上限の100℃までは余裕を残している。動作クロックは、Eコアは3,698MHzで安定しているが、Pコアは4,797~4,897MHzで推移し、CPU温度が高まるテスト後半は4,797MHzでの動作が増えている。CPUがフルロード時で、このCPU温度ならCore i9-12900Kの能力を十分引き出せていると言える。
続いて「リミット解除設定」を見ると、さすがに最大温度は101℃を記録し、頻繁に99℃に達している。Pコアの動作クロックはほぼ4,897.6MHzに張り付いているが、残念ながら冷却性能は一歩足りていない。
AMD Ryzenと異なり、第12世代Intel Coreプロセッサで「OCCT 10.0.7:CPU」を実行すると、CPU負荷は100%にならず、「CPU Package Power」も170W~180W台と低めになっているため、「リミット解除設定」でもCPU温度は68~74℃で推移している。負荷的には写真や、動画編集、ゲーミングといった実使用にマッチしている感じだ。
最後は、Core i9-12900Kでのストレステスト中の騒音値をチェックしよう。計測は3基のラジエターファンの中央部から30cm離れた位置で行っている。ファン回転数は、アイドル時は最小回転の800rpm台。「CINEBENCH R23」実行時は「Intel標準設定」「リミット解除設定」ともに1,500rpm台から最大回転数の1,600rpm台で動作。「OCCT 10.0.7:CPU」実行時は1,200rpm台で動作している。
3基のファンがほぼ最大回転で動作する「CINEBENCH R23」実行時は、さすがに50dBAに迫る40dBA後半を記録したが、1,200rpm台の「OCCT 10.0.7:CPU」実行時は40dBAまで下がっている。最大回転時でも、耳障りな高周波や軸音は感じなかった。組み合わせるCPU次第だが、最大回転数を1,200rpm台に調節して、静音性を高めるのも良いだろう。
爆熱CPUのRyzen 7 5800Xと、(Intel標準設定のみとは言え)Core i9-12900Kのパフォーマンスを十分引き出せる冷却性能を発揮した「Symphony 360 ARGB」。オールインワン型水冷ユニット選びで最も大事な冷却性能に加え、鮮やかなLEDイルミネーションギミック、カスタマイズ次第で高い静音性を実現できるファン性能、さらに360mmラジエーター搭載で15,800円前後という、魅力的な要素を数多く兼ね備えている。
コスパも良好と言えるAntec「Symphony 360 ARGB」 |
この春に第12世代Core i7/i9や、AMD久々の新CPUでゲーミング最強の座を狙ったRyzen 7 5800X3Dで組むには、有力なクーラー候補になってくれそうだ。
協力:Antec
株式会社リンクスインターナショナル