エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1105
2022.02.11 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからは「315」の内部構造を解説していこう。詳細を見ていくに当たりサイドパネルを開くと、そこにはIn Win独自の”あのレイアウト”が姿を現す。どのPCケースとも違う独特な内部設計は、モデル名こそ言い当てられないものの、In WinのPCケースである事は明らか。そんな”クセの強い”構造をくまなくチェックしてみたい。
主要構成パーツは、一般的なPCケース同様に左側面からインストールを行う。まずはマザーボードトレイからチェックを開始してみよう。E-ATX(305x300mm)、ATX、MicroATX、Mini-ITXが搭載できるスペースは、明らかに左右の空間が広く確保され、代わりに天地の幅が明らかにタイトである事が分かる。タイトに見える理由は、ボトムカバーを備えたイマドキの設計とは異なり、電源ユニットがトップマウントのためだろう。当然ながらATX規格がきちんと収まるスペースは確保されており、なんら問題はない。
なおトレイ面を確認すると、マザーボードの固定位置をセットできる段差付きスタンドオフが、黄色に囲んだ丸部分の2箇所に装着されている。さらに通常のスタンドオフが白丸部分で、2箇所のみが装着済み。つまりATX規格の標準的な縦3列x横3行=合計9本のうち、4本のみが装着済みで、残る5本は自ら固定する必要がある。
「315」の特徴的な内部構造により、エアフローレイアウトも独創的で興味深い。このスタイルを採用するIn Win製品に共通しているのは、恐らくエアフローレイアウトを最適化する目的で、設計が進められているということ。決してエアフロー重視の高冷却筐体とは前面にアピールされてはいないものの、ドライブベイや電源ユニットが主役ではない事は想像できる。このスタイルこそ現行のIn Win製品の主たるテーマではないだろうか。
ボトム面から吸気し、リアと右側面から排出するスタイルは、さしずめ”立体的エアフローレイアウト”とでも言おうか。In WinのミドルタワーPCケースの多くに採用される独自の設計思想だ |
多くのPCケースとは異なり、フロントパネル部に冷却ファンの増設スペースはない。代わりに用意されているのがトップエリアだ。これもまた独特で、トップパネル部は利用せず、さしずめ日本家屋の和室に見られる欄間のように、天井から垂直に伸びた面にハニカム状の通気孔を設け、ここに120mmファンを最大3基、ラジエターなら120/240/360mmサイズが固定できるようになっている。
実際にはマザーボードトレイの延長といったイメージで、このスタイルを採用する事により、トップ面を強化ガラスとアルミニウム製パネルで塞ぐ事ができるというワケだ。なおIn Winの製品資料によると、エアフロー方向は右側への排出とあるため、本体を右壁に合わせてベタ置きする場合は、多少の隙間が必要になりそう。
リアファンは構造上、PC本体の中段あたりに位置する。ここには出荷時より120mmファンの「Luna AL120」が標準で装備されている。国内市場では2021年7月より単体での販売が開始され、1個パック(型番:FN-AL120-1PK)と3個パック(型番:FN-AL120-3PK)がラインナップ。9枚の三日月型ブレードが特徴のアドレサブルRGBファンで、回転数400~1,800rpm±10%、騒音値25dBA、風量最大82.96CFM、静圧最大2.31mmH2Oとされる。
なおラジエターを搭載する事も可能。サポートサイズは120mmで、最もベーシックなオールインワン型水冷ユニットをチョイスするなら、この場所を利用することになる。
Luna AL120はスリーブベアリングを採用し、耐用年数は最大で30,000時間。コストパフォーマンスにも優れ、特に3個パックを購入すると、ARGBコントローラーが付属する |
ちなみにIn Winからは「Sirius Extreme ASE120」(画像右)がリリースされている。標準装備の「Luna AL120」(画像左)とは異なり、丸みを帯びた四角形の「Squoval」デザインを採用。異なるイルミネーションが楽しめるので、ドレスアップアイテムとして覚えておこう |
ボトム部にもトップ部に匹敵する、冷却ファン増設スペースが設けられている。オプション扱いながら、120mmファンなら最大3基、ラジエターは120/240/360mmサイズが搭載できる。ちなみにスペック表によると、360mmサイズラジエターだけ”スリム”の注意書きが加えられている。
大きなハニカム状の通気孔部には、最大3基の120mmファンが搭載可能。推奨エアフローレイアウトは外気を外から取り入れる吸気とされている |