エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1107
2022.02.18 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
唯一、標準ファンが搭載されているのがフロント部だ。高エアフロー設計を象徴する2基の「Dynamic X2 GP-18 PWM」は、180mm径/38mm厚の高静圧タイプ。回転数300~1,200rpm、騒音値16~35.4dBA、風量44.9~153.7mm、静圧0.4~2.26H2Oで、軸受けにはHigh-grade LLS(Long Life Sleeve)を採用し、MTFFは90,000時間におよぶ。
外観だけに留まらず、Torrent同様180mmファン2基の標準装備は”外せない軸”。前面からフレッシュな外気を高静圧で内部に取り込み、ショート化され距離が近くなった背面から一気に排出するスタイル。ともすればTorrentよりも有利な条件で筐体内部に強い気流を作り上げている。
コンパクトになった事で、フロント部ほぼ全てが冷却ファンに覆われている。サイドフロー型CPUクーラーやグラフィックスカードに対し、水平エアフローが効果的に冷却をアシストしている |
さらに付属の「フロントファンブラケット」を使用すれば、140mmファン2基、または120mmファン3基に換装も可能。ラジエターは120/140/240/280/360mmサイズに対応する。
フロントシャーシ面には120/140の数字が刻まれており、付属のファンブラケット固定位置が分かるようになっていた |
トップ面が密閉状態だけに、冷却ファン増設スペースとしてはボトム部を有効活用したい。ここには180mmまたは140mmファンが2基、120mmファンなら3基が増設できる。ただし180mmファンをチョイスする場合は、マザーボードサイズがMicroATX以下に限定される点を覚えておこう。なおラジエターは120/140/240/280mmサイズに対応。フロント部と合わせてデュアルファン仕様のPCも構築できる。
ネジ穴はスリットタイプ。特にラジエターの設置時には微妙な位置調整が便利にできる |
ボトムファンフィルタはプラスチック製で、外形寸法は実測で幅約198mm、長さは約380mmだった |
CPUソケットやマザーボードの電源回路周辺は熱源だけあって、一般的なPCケースでは標準装備率が高いリア部。Torrent Compactではここをオプション扱いとしている。Fractalのラインナップでは2017年発売の「Focus」シリーズ以来と思われるが、実はTorrentの前身がFocusである事はあまり知られていない。そのスタイルの一部(?)を受け継いだ格好だが、ハニカム状の通気孔部分には、120mmファンまたは120mmサイズラジエターが搭載できるようになっている。
リア面の多くはハニカム状の通気孔仕様だが、フロント部標準180mmファンx2基の高い風量により、システム構成によってはリアファンの力を借りる必要なく、排熱処理ができるだろう。ケースバイケースではあるものの、温度状況をモニタしつつ増設は判断すればいい。
設置できるのは120mmファンのみ。緩やかに回転する静音ファンを搭載するだけで、周辺の排熱に貢献してくれるはずだが、フロント180mmファン2基の大風量が一気にそれを賄う可能性がある |
Torrentにも標準装備されている「Nexus 9P Slim Fan Hub」は、右側面下部のフロントパネルに沿うように装着されていた。用途は最大9基の4pin(PWM)/3pinコネクタファンが接続でき、これを一括で給電または制御できるというもの。最大36W/3Aまでをサポートし、電力供給用となるSATA電源コネクタと、4pin PWM制御用コネクタをマザーボード上のファンコネクタに接続して使用する。マザーボードの冷却ファンコネクタ不足を解消する役割に加え、一箇所で集中して制御できることから、ケーブルマネジメントの観点からも便利な存在だろう。
当初Torrentでは若干トラブルはあったものの、すっかり新しくなった「Nexus 9P Slim Fan Hub」。積極的な裏配線を促す装備品とも言える |