エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1107
2022.02.18 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最終セッションでは構成パーツ一式を用意し、実際にPCを組み込んでみよう。組み込み易さも特徴だったTorrentを、二回りほど小さくしたTorrent Compactでは、それなりに組み込みがし辛い箇所もあるだろう。小型筐体好きな自作派は確かにいて、難しいからこそ自作魂に火が付くと言ったところ。かく言う筆者もその嗜好を若干持ち合わせているだけに、楽しみながら作業を進めてみたい。
初めにマザーボードを搭載してみよう。検証にはASUS「ROG MAXIMUS Z690 HERO」を用意。基板は305x244mmのATX規格で、トレイ部に装着済みのスタンドオフにネジ穴を合わせ、付属のMounting Screw (6-32)で固定していく。
中~大型ミドルタワーPCケースとは勝手が違い、コンパクトである分だけ多少組み込みのしにくさは覚悟していた。しかし実際にはボトムカバー付きのPCケースと大差なく、ドライバーの扱いにくさも感じない。電源ユニットがマウントされる上部の出っ張りは気になるものの、搭載後は実測で10mmの空きスペースを確保。前方の38mm厚180mmファンまでは約85mmの距離を残している。
次にCPUクーラーの有効スペースをチェックしよう。計測はCPUの上にレーザー距離計を置き、強化ガラス製サイドパネルの内側にマーカーを貼り付けた。ここに照準を合わせてみると、デジタル表示は182mmを指している。メーカー公称値は高さ174mmだから、誤差の範囲としてはやや大きい数値。とは言え、公称値より広い分には問題がないため、ここは不問としよう。とは言え、あくまで参考値であり、CPUクーラーを選ぶ際はメーカー公称値までに留めて置く事をオススメする。
数値はあくまで”エルミタ調べ”。高さ174mmまでのCPUクーラーを選ぼう |
次にマザーボードトレイ背面に回り、CPUクーラーメンテナンスホールのサイズを計測しておく。数値は実測で幅約195mm、高さは約145mm。見た目でも分かるように、備え付けのバックプレートおよびCPUクーラー固定用の穴は十分露出できており、組み込み後のメンテナンスやクーラーの交換には、十分に役割を果たしてくれるだろう。
トップマウントの電源ユニットを搭載してみよう。搭載テストには2021年8月に検証を行った「Ion+ 2 Platinum 860W」(型番:FD-P-IA2P-860)を用意。冷却ファンにFractal Design「Dynamic GP-14」を搭載し、奥行き150mmに収めたフルモジュラー式の80PLUS PLATINUM電源ユニットだ。
トップカバーが簡単に取り外せるため、開放状態で作業が可能。ボトムカバー内に収納するスタイルとは大きく異なり、モジュラー式ケーブルは本体固定後でも容易に抜き差しができる点はメリットだろう。210mmの有効スペースに対し、150mmのIon+ 2 Platinum 860Wは当然問題はなく、主要ケーブルを挿し終えた状態でも、2.5/3.5インチドライブトレイと共存できている様子がお分かり頂けるだろう。
とは言え、上段3.5インチHDD/下段2.5インチSSD構成の場合、ケーブルの接続本数によってはかなり混み合った状態になる。2.5/3.5インチドライブトレイは前方に50mm移動できるため、ケーブル置き場自体は拡大できるものの、下段に2.5インチSSDが搭載できなくなる。悩ましいトレードオフだが、状況に応じて判断するしかないだろう。
出荷時のポジションなら、2.5/3.5インチドライブトレイと電源ユニット間は約25mm。前方に50mm移動させると75mmの空きスペースが確保できる |
設計上モデル特有のルールとして、ATX12V電源ケーブルは電源ユニットを搭載する前に接続しておく。電源ユニットを搭載すると、スルーホール自体のアクセスが悪くなる上、コネクタへの接続作業も容易ではなくなる。その辺りはマニュアルにも記載されているため、見落とすと最悪組み直しの憂き目に遭う |