エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1108
2022.02.21 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは高負荷時の電源回路の温度を確認しておこう。ストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使用し、標準設定と「BFB Technology」を有効にした状態で計測を実施した。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
標準設定なら最高52℃、消費電力が100W以上増える「BFB Technology」を有効にした状態でも最高温度は71℃までしか上がらなかった。またサーモグラフィの結果を見るとヒートシンク全体の温度が上がっており、MOSFETやフェライトコアチョークから発生した熱を効率よく放熱できているようだ。なお電源回路に実装されている冷却ファンは50℃を超えると回転を開始し、最高で3,800rpm前後まで回転数が上がるものの、ファンのサイズが小さいこともあり、CPUクーラーのファンの音に紛れてしまい気になることはなかった。
基板サイズが制限されるMini-ITXマザーボードでは、ATXのハイエンドモデルに比べるとどうしても電源回路は控えめになりがちだ。しかし、「Z690 Phantom Gaming-ITX/TB4」ではフラッグシップモデルでも採用されている「105A SPS」をはじめ、高品質なパーツを組み合わせることで、この欠点を解消した。また冷却ファンを備えた大型のヒートシンクや、コンシューマ向けでは最高クラスの10層PCBなど冷却にもこだわることで、定格はもちろん、100W以上も消費電力が増加する「BFB Technology」を有効にした状態でも安定動作を可能にしている。
さらにKiller Double Shot Proに対応するネットワーク機能や高音質なオーディオ回路など、ゲーミングPCに求められる機能も充実。拡張スロットの制限についても、最近ではマルチグラフィックスがほとんど利用されていないこと考慮すれば大きなデメリットにはならず、ゲーミングPCを構築する際にATXマザーボードとの違いを感じることはほとんどないだろう。
そしてThunderbolt 4を搭載するIntel Z690チップセットマザーボードの中では最安クラスの製品なのも大きなトピック。高速なネットワークや、大容量なストレージが要求されるクリエイティブな作業でも「Z690 Phantom Gaming-ITX/TB4」なら大いに力を発揮してくれるはずだ。
協力:ASRock Incorporation