エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1111
2022.02.28 更新
文:藤田 忠/撮影:松枝 清顕
テストセッションの最後は、電源回路とCPUパフォーマンスのチェックだ。「PRIME B660-PLUS D4」の電源回路はハイサイド・ローサイドMOSFETとドライバICで構成された8フェーズに、8pin仕様のCPU補助電源コネクタとを組み合わせる、クラス相応の構成。しかしここではCore i7-12700KのIntel定格値になるPL1(PBP):125W、PL2(MTP):190Wに設定した「Intel定格」に加えて、電力リミットを解除してCPUの性能を最大限に引き出すPL1(PBP):4,095W、PL2(MTP):4,095Wの「リミット解除」で運用した状態でもテストを実施し、その限界を見極めていくことにした。
ストレステストにはCPUがフルロードされる「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を利用し、実行中のCPU動作クロック(「P-core 0 Clock」「E-core 8 Clock」)と、CPU消費電力となる「CPU Package Power」を「HWiNFO64 PRO」で記録。電源回路の温度は、回路部にセンサーを搭載していないため、VRMヒートシンクの温度は非接触型温度計を使って測定した。
ただ、リミット解除時はCPU Package Powerが190W台で推移するようになる。さすがにこの消費電力は8フェーズの電源回路には負荷が大きく、かなり発熱もするため、電源回路周辺に風の流れができない水冷システムでは不安が残る。そこでテストはトップ側とリア側のVRMヒートシンクに風を送るための120mmファンを設置した状態でも行うことにした。
Core i7-12700Kの定格値となるPL1(PBP):125W、PL2(MTP):190Wに設定時と事実上、電力リミット無制限のPL1/PL2:4,095W時でテスト |
「Intel定格」はファンなしの状態でも、CPU Package Powerは、おおむね125W前後で推移し、Pコア、Eコアの動作クロックも安定しているが、「リミット解除」時は懸念した通り、ファンなしの状態ではCPU Package Powerが190W台と80W台で頻繁に上下している。Pコアの動作クロックも同様で4,688MHzと3,591MHzに変動している。ファンを設置すると不安定だった挙動はなくなり、CPU Package Powerは190W台で推移し、動作クロックはPコア 4,688MHz、Eコア 3,591MHzというマルチスレッド時の最高クロックに張り付いている。
VRMヒートシンクの表面温度は、「Intel定格」でもファンなしの状態では80℃近くに達し、ファンなしの「リミット解除」時に至っては97.3℃を記録している。ヒートシンク表面でこの温度ということは、チップ自体は100℃を超える発熱量になっている可能性が高い。電源回路周辺へのエアフローは確実に確保したいところだ。