エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1115
2022.03.10 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
Intel B660チップセットのため、CPUのオーバークロックには非対応だが、Power Limit(PL)を変更してより長時間ブースト状態を維持することはできる |
第12世代Intel Coreプロセッサでは、電力制御の方法が変更され、CPUのオーバークロック非対応のNon-Kシリーズでもリミット値を調整することで、性能を引き上げる事ができる。そこで今回は「Power Limit 1」(PL1)と「Power Limit 2」(PL2)をいずれも250Wにすることで、動作クロックやPackage Powerがどのように変化するのか確認していこう。なおストレステストには「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使用している。
標準設定ではPL1の数値はCore i5-12400のProcessor Base Powerである65Wに設定されている | PL1=PL2=250Wに設定した状態でも計測を実施した |
標準設定でもテスト開始直後は全コア約4.00GHz、Package Powerも約80Wまで上昇するが、約1分でコアクロックは約3.70GHz、Package Powerも約65Wに落ち込んでしまう。しかし、PL1とPL2を250Wに設定すると、テスト終了までコアクロックは約4.00GHz、Package Powerは約80Wを維持できるようになる。
続いて、各種ベンチマークテストを使いパフォーマンスにどのような影響があるのか確認していこう。
「CINEBENCH R15」では、マルチコアテストだと負荷が軽く、1分以内にテストが完了してしまうためリミット値に関係なくスコアは横並びになる。また基本的に1つのコアにしか負荷がかからないシングルコアテストでは、定格の65W制限でもリミット値に達することがなくやはりベンチマークスコアに有意な差は見られなかった。
「CINEBENCH R20」でも、シングルコアテストについてはリミット値の制限以下でテストが行われるため結果に大きな違いはない。しかし、マルチコアテストでは、途中でクロックが低下するため約2%だが、250W設定のスコアの方が高くなった。
そして、よりテスト時間の長い「CINEBENCH R23」では、マルチコアテストの差は約11%に広がり、リミット値を変更したメリットが如実に現れている。動画のエンコードや、CGのレンダリングなど、長時間すべてのコアに負荷がかかる処理を行う場合はリミット値を調整することで、Non-KモデルのCPUでも作業時間を大幅に短縮することができる。
ゲーム系のベンチマークである「ファイナルファンタジーXIV︓暁月のフィナーレ」の計測も行ったが、こちらもテスト中はほぼ1つのコアに負荷が集中するためリミット値の調整による違いはなかった。
また各テスト時の消費電力を確認すると、アイドル時はもちろん、シングルコアテストや「ファイナルファンタジーXIV︓暁月のフィナーレ」などシングルスレッド処理では目立った違いは出ていない。ただし、「CINEBENCH R23」のマルチコアテストではPackage Powerに合わせて、約20W消費電力が増加している。