エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1116
2022.03.16 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
テストセッションのラストは、「Rocket 4 Plus」シリーズに実装されている薄型ヒートスプレッダの冷却性能をチェックしていこう。またSabrentからはオプションのM.2 SSDヒートシンク「SB-HTSK」も発売されているので、合わせて冷却性能を確認している。なおストレステストには「CrystalDiskMark 8.0.4」をデータサイズ64GiB、テスト回数9回に設定して3回連続実行する非常に重い負荷をかけている。
M.2 SSD向けのオプションヒートシンク「SB-HTSK」。アルミニウム製ヒートシンクにはコイル状の3本のヒートパイプが内蔵されている |
マザーボード標準のヒートシンクに比べると高さがあるため、バックプレートを備えるグラフィックスカードを使用する場合は干渉に注意する必要がある |
標準ヒートスプレッダ:「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 | 「SB-HTSK」装着時:「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 |
薄型の標準ヒートスプレッダでも放熱性能を高める効果はあるようで、多くのSSDで転送速度が低下する1回目のシーケンシャル読込では、ほぼ公称値通りのパフォーマンスを発揮する。しかし、ランダム読込テストからサーマルスロットリングが発生し、転送速度は約半分まで低下してしまう。その後は温度が下がると転送速度が回復し、温度が70℃に達するとサーマルスロットリングによって速度が低下するというサイクルを繰り返してテストが完了する。
一方、「SB-HTSK」を装着すると温度上昇は一気に緩やかになり、1回目のテスト完了時で約45℃、2回目のテスト完了時で55℃、3回目のテスト完了時でも65℃までしか上がらなかった。サーマルスロットリングと思われる症状も発生しておらず、テスト中は常に安定したパフォーマンスを発揮している。もしマザーボードにヒートシンクが標準装備されていない場合は「SB-HTSK」も同時に購入しておくといいだろう。
標準ヒートスプレッダ:アイドル時のサーモグラフィ | 標準ヒートスプレッダ:高負荷時のサーモグラフィ |
「SB-HTSK」装着時:アイドル時のサーモグラフィ | 「SB-HTSK」装着時:高負荷時のサーモグラフィ |
またサーモグラフィの結果を確認すると標準ヒートスプレッダ、「SB-HTSK」とも高負荷時はまんべんなく温度が上昇しており、冷却機構がない場合はコントローラに集中してしまう熱を効率よく分散できている様子が確認できる。
Micronの最新NANDフラッシュ「B47R」と最適化ファームウェアにより、従来モデルからさらなく高速化を謳うSabrent「Rocket 4 Plus」シリーズ。サイズの小さいデータではわずかに転送速度が低下するものの、「デフォルト (ランダム)」でもシーケンシャルアクセスは最高約7,300MB/sec、ランダムアクセスは1,200,000 IOPSを超え、PCI-Express4.0接続のハイエンドSSDの中でも間違いなくトップクラスの性能を発揮する。
そして実際のゲーム環境での性能を図る「3DMark Storage Benchmark」の結果も優秀。レイテンシも最小限に抑えられており、サイズの肥大化が進む重量級のゲームでもストレス無く楽しむことができる。またPCI-Express4.0 SSDの新たな使い方として注目されているPlayStation 5用の増設ストレージとしても力を発揮してくれる。
ちなみに今回検証を行った4TBモデルのAmazonにおける販売価格は税込88,999円(原稿執筆時点)とかなり高価なため、容量がここまで必要ないなら同等の公称転送速度ながら価格が半分以下の2TBモデル(同税込38,999円)を選ぶといいだろう。
協力:Sabrent