エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1117
2022.03.20 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
今回はPCI-Express4.0(x16)スロットの直上にあるM.2スロットを使用しているが、バックプレートのあるグラフィックスカードを搭載した場合でも干渉することはなかった |
「M.2-10」の取り付けが完了したところで、ここからは注目の冷却性能をチェックしていこう。ストレステストは「CrystalDiskMark 8.0.4」をデータサイズ64GiB、テスト回数9回に設定して3回連続実行し、ファンの回転数はフル回転と50%の2種類で計測を実施した。
ファンコントロール機能でフル回転を選択した場合、ファンの回転数は公称値よりも約500rpm高い3,500rpm前後まで上昇 | ファンコントロール機能で50%を選択した場合、ファンの回転数は1,500rpm前後で推移した |
フル回転時の「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 | 回転数50%の「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 |
ヒートシンクなしの「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 |
ヒートシンクなしの状態では1回目のシーケンシャル読込テストの途中でしきい値の72℃まで上昇し、サーマルスロットリング機能によって転送速度が一気に低下する。その後は温度が下がると転送速度が戻るものの、すぐにしきい値を超えて再びサーマルスロットリングが発生するというサイクルを繰り返してテストが完了する。
一方「M.2-10」を搭載すると温度上昇は一気に緩やかになり、最高温度はフル回転時が46℃、回転数50%でも48℃までしか上がらなかった。これまで同様のテストでマザーボードに標準装備されているヒートシンクを数多くチェックしてきたが、いずれもサーマルスロットリングこそ解消できるものの、温度は60℃後半まで上がることを考えると「M.2-10」の冷却性能はまさに圧倒的と言っていいだろう。
最後に騒音値を確認していこう。フル回転時は39.3dBAまで上昇するため、バラック状態では若干だが風切り音が聞こえてくる。個人的には耳障りに感じる程ではないが、回転数50%では騒音値は-2.9dBAの36.4dBAまで低下し、風切り音も気にならなくなった。冷却性能にも大きな違いがないため、静音性を重視するなら回転数を50%前後まで落とすといいだろう。
M.2 SSDクーラーとしては異例とも言えるシロッコファンを搭載した「M.2-10」だが、転送速度が7,000MB/secクラスのいわゆる第2世代PCI-Express4.0(x4)SSDとの組み合わせでも、その温度を50℃未満に抑え込み冷却性能は圧巻の一言。現在主流であるパッシブヒートシンクとは明らかに一線を画すパフォーマンスを発揮した。
イマドキのマザーボードは、M.2ヒートシンクもデザインの一部として組み込まれているため、「M.2-10」を搭載することで見た目の統一感はなくなってしまう。またファンの配線が必要になるのも外観を重視するユーザーには気になるところだろう。
しかし、そういったデメリットを差し引いたとしても「M.2-10」のパフォーマンスは大いに魅力的だろう。価格も税込で3,000円前後と手頃なことから、M.2 SSDの冷却に不安を感じているなら導入することをオススメしたい。ちなみに筆者は冷却テストが完了した時点で即購入を決断し、すでに予約済みだ。
協力:株式会社サイズ