エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1125
2022.04.09 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからはパッケージより本体を取り出し、Torrent Nanoの外観デザインからチェックを開始する。今回国内代理店の株式会社アスク(本社:東京都千代田区)より借り受けたのは「Torrent Nano RGB Black TG Light Tint」(型番:FD-C-TOR1N-02)。本体カラーはブラックで、左右に強化ガラスサイドパネルが装着されている。
このモデルを選んだのは、初回のTorrentがブラック、前回のCompactがホワイトだったため、順番的にはブラックだろうという単純な理由から。根強いホワイトパーツの人気は承知しているが、どのロケーションにも合うという意味もあり、無難なブラックをリクエストした。
フロントパネルはモデルの個性を凝縮させた、最も大切な部分。デザイナーの手腕で売上が左右する重要要素だが、Torrent Nanoは同シリーズを踏襲。エアフロー重視のPCケースを象徴するオープンフロントグリルは、Y字ベントとグレーチングのような格子パターンで構成されている。敢えて”無難”としたのは、格子のピッチや数の違いはありつつも、大きな変更が加えられていない。BWMのキドニーグリルやアルファロメオの盾形グリルのように、意匠を合わせることで、シリーズの一員である事が強調されている。熱心な自作派なら、既にこのパターンを見てTorrentシリーズである事を容易に言い当てるまでに浸透しているはずだ。
Torrentシリーズ共通のフロントグリルと、取り外したシャーシ側の前面。象徴となる180mmファンについては、後ほど詳しく解説しよう |
シャーシのスチールとは異なり、フロントパネルはプラスチック製。本体の固定は上部2箇所のラッチ機構によるもので、手前に引くとロックが外れ、持ち上げることで簡単に取り外しができる。シャーシ側フロントパネル部や、フロントパネル裏に装着される防塵フィルタへのアクセスが容易で、これもTorrent譲りの長所だ。
共通の仕掛けである、フロントパネル裏の防塵フィルタ。これだけ通気性の良いグリルだけに、全面をフォローするフィルタの存在は必須だろう。取り外しは上部取っ手を引っ張るとロックが外れる仕組み |
トップ部フロント寄りにレイアウトされている各種スイッチとアクセスポート類。中央の円形のボタンはPowerスイッチで、左右にはUSB3.0ポート、さらに右手にはUSB3.1 Gen.2 Type-Cポート、Resetスイッチ。左端にはHD Audio(マイク/ヘッドホン)端子がある。装備としては十分だろう。ちなみにPowerスイッチは起動中、中央の電源マークがホワイトに発光する。
TorrentとTorrent Compactでもまったく同じレイアウトが採用されているだけに、もはやアップの画像だけではモデルが判別できない |
トップパネルはプラスチック製。極端なカーブではないものの蒲鉾形で、緩やかな膨らみのある形状もシリーズ共通のデザインが採用されている。ちょうど内部は電源ユニットやストレージ収納部に当たり、通気孔の類いは一切なし。完全な密閉状態になっている。
取り外しはツールフリー仕様。左右各3個のフックと前方2つのツメが前後スライドによりシャーシに引っかかる仕掛けで、背面に内蔵された左右のラッチ機構によりカチッとロックできる。ネジが使用されていないだけに着脱は容易だが、一方で外れやすい。特に組み込み後、トップパネルに手を添えての移動はNGである事を覚えておこう。
なおパネル表面は艶消しブラック塗装、裏面はハニカム状のパターンで、強度を保つ工夫がなされている |