エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1128
2022.04.14 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは消費電力とCPU温度を確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「CINEBENCH R23」実行時と「ファイナルファンタジーXIV︓暁月のフィナーレ」実行時の最高値を採用している。
まず消費電力を確認すると、Ryzen 7 5800Xとの比較では、シングルコアテスト時は約20W、マルチコアテスト時は約35W、ゲームプレイ時でも約15W低くなった。またCore i9-12900Kとの比較ではゲーム時でも40W以上の差があり、Ryzen 7 5800X3Dのゲーム時のワットパフォーマンスは非常に優秀だ。
ただし、CPU温度については消費電力が低下しているにも関わらず、Ryzen 7 5800Xを上回る結果になった。これはおそらく積層された大容量SRAMキャッシュによって実装密度がさらに上がったためだと思われる。Ryzen 7 5800X3Dの冷却に関しては、Ryzen 5000シリーズのハイエンドモデルと同じく、大型の空冷クーラーや280mm以上のラジエターを使用した水冷ユニットなどを用意したほうがいいだろう。
SRAMをCPUダイに積層する最新技術「3D V-Cache」によって従来の3倍という大容量のL3キャッシュを実現したRyzen 7 5800X3D。そのトレードオフとして、動作クロックが引き下げられていることから、「CINEBENCH」系のベンチマークではRyzen 7 5800Xに対して後塵を拝するなど、CPU中心の処理ではあまり効果が見られなかったのは少々残念なところ。
一方、メインターゲットに据えるゲーム関連のベンチマークでは、Ryzen 7 5800Xに対してはほぼすべてのベンチマークで上回る会心の結果。さらにコア数や価格帯では上位に位置づけられるCore i9-12900Kに対しても同等か、それ以上のパフォーマンスを発揮し、現行のCPUではまさに最高クラスのゲーム性能を実現している。
その中でも特に高フレームレート環境に強いことから、FPSやバトルロイヤル系のゲームを中心に遊ぶユーザーにとって、Ryzen 7 5800X3Dは魅力的な製品になるだろう。そして、未だ詳細は明らかにされていないが、最新の「Zen 4」アーキテクチャに加え、当然「3D V-Cache」も採用してくるであろう次世代CPU「Ryzen 7000」シリーズのパフォーマンスにも大いに期待ができそうだ。
協力:日本AMD株式会社