エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1130
2022.04.20 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは、注目の消費電力とCPU温度を確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「CINEBENCH R23」実行時と「ファイナルファンタジーXIV︓暁月のフィナーレ」実行時の最高値を採用している。
消費電力はRyzen 7 5800Xからマルチコアテスト時で約80W、シングルコアテスト時でも約20Wと大幅に低下している。またRyzen 7 5700Gとの比較でもシングルコアテスト時こそ高めだが、マルチコアテスト時は約15W低下し、全体的にかなり省電力なCPUに仕上がっている。
そしてCPUの温度についてはRyzen 7 5800Xから約30℃、Ryzen 7 5700Gとの比較でも10℃以上も低下している。今回の検証ではCPUクーラーに360mmラジエターを採用するCORSAIR「iCUE H150i ELITE LCD」を使用しているが、Ryzen 7 5700Xならミドルレンジクラスの空冷クーラーでも余裕を持って冷却することができるだろう。
Zen 3アーキテクチャでは初となるTDP65Wの8コアCPU「Ryzen 7 5700X」。上位モデルであるRyzen 7 5800Xに比べるとクロックが低めに設定されていることもあり、CPU性能では正直敵わない。しかし、APUであるRyzen 7 5700Gに対しては、L3キャッシュ容量が多いこともあり、ほぼ同じクロックで動作するシングルスレッド処理で約5%上回るスコア。動作クロックが約300MHz低いマルチスレッド処理でも同等か上回るパフォーマンスを発揮する。
Ryzen 7 5800Xとの比較でもマルチスレッド処理を除けば性能差はごくわずか。一方、消費電力や発熱は大幅に低減されており、スリムPCやMini-ITXケースを採用する小型PCでも無理なく導入することができる |
そしてゲーム性能ではRyzen 7 5800Xとほぼ同等。Ryzen 7 5700Gとの比較では30%以上も上回るものもあるなど、フルスペック版Zen 3アーキテクチャの強さをまざまざと見せつける結果になった。
さらにその性能を引き出すには280mm以上のラジエターや大型の空冷クーラーが必要だったRyzen 7 5800Xから発熱は大幅に低減しており、冷却のハードルはグッと低くなっている。これまで発熱や消費電力の問題でRyzen 7 5800Xの導入をためらっていた人にとって、Ryzen 7 5700Xはまさに待望の製品と言えるだろう。
協力:日本AMD株式会社