エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1136
2022.05.03 更新
文:撮影・松枝 清顕(解説)/ 検証セッション・池西 樹
NH-D12L最大の特徴とも言える120mmファンをじっくり解説していこう。単体での販売も開始される「NF-A12x25r」は、NH-D12Lのために仕立てられた、言わば特別な存在。フレーム形状からも一般的な汎用ファンとの違いは明らかで、ラウンド形状でありながら、左右にはスクエア形状の名残がある。
配色はNoctuaカラーのそれで、インペラ数は9枚仕様。ベースとなるのは、実に4年以上の開発期間を費やし、2018年5月に製品化された「NF-A12x25」だ。超硬質素材「Sterrox LCP」の開発に加え、中心軸からぶれること無く精密に回転を続ける事により、フレームとインペラ(ブレード)の隙間を従来の1.5mmから0.5mmに縮められている。一部で”Noctuaジェネリック”等と揶揄され、近ごろでは比較的安価に同じ仕様の製品が流通しているが、その元祖はNF-A12x25にある事を改めて強調しておきたい。
スペックはNH-U12Aに搭載されるNF-A12x25 PWM同様。回転数は450rpm~2,000rpmで、騒音値は22.6dBA、風量102.1m³/h、静圧2.34mmH2O、1で、付属品の減速ケーブル「NA-RC14」Low-Noise Adaptor(L.N.A)を使用することで、最大回転を1,700rpm、騒音値を18.8dBAまで抑える事ができる。
改めて以前詳細検証をお届けした2018年発売の「NF-A12x25」と直接比較してみたい。2つを重ねてみると、フレームやラバーの配色は同様だが、四隅の形状が明らかに違う事が分かるだろう。この部分こそ、両者唯一の異なるところで、ローハイト120mmファンのキモとなっている。
同一径でローハイト化できているのは、通常の120mmファンのピッチ(105x105mm)よりも内側(93x83mm)に固定用穴を設ける事で、ファンクリップも中心寄りに固定が可能。同じ120mmファンでありながら、ひと周り径の小さな冷却ファンであるかのように、”偽装”しているのだ。このように、Noctuaらしい発想から120mmファンを低い位置に設置。径を小型化せず、冷却ファンのパフォーマンスを維持する事に成功している。
通常の120mmファンネジピッチよりもさらに中心よりに設けられた、NF-A12x25rのネジ穴。つまり105x105mmピッチの120mmファンとしての互換性はない |