エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1142
2022.05.19 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
続いてRyzen 5000シリーズによるチェックを進めていこう。まずは現行のメインストリームCPUでは最高のスレッド数を誇る16コア/32スレッドのRyzen 9 5950Xからだ。テスト条件は全く同じで、CPUの温度は「Tctl/Tdie」、動作クロックは「Core Clocks (avg) 」の数値を採用している。
16コア/32スレッドのRyzen 9 5950X。1パッケージに2基のCCXが内蔵されており、熱が分散するためTDPやコア数の割にCPU温度は控えめだ |
「OCCT 10.1.7」では突発的に最高74℃まで温度が上昇するものの、概ね60℃後半で推移し、Package Powerや動作クロックにも大きな落ち込みは見られない。さらに「CINEBENCH R23」では一度も70℃を超えるシーンはなく、その発熱を完全に押さえ込むことができている。
今回はマザーボードの標準設定のままでテストを行っているため、ファンの回転数は「OCCT 10.1.7」「CINEBENCH R23」とも1,600rpm後半まで上昇した。ただし、「AK400」に搭載されている「FC120P」は1,600rpm台までは静音性が高く、1,700rpmを超えると急に音が大きくなるため、ノイズレベルは40dBA前後で頭打ちだった。実際に聞こえてくる風切り音もフル回転時に比べるとかなり小さく、あくまでも主観ながらバラックの状態でも耳障りに感じることはなかった。
続いて、Ryzen 9 5950Xと同じTDP105WのCPUながら、CCDが1基のため熱処理が格段に難しいことで知られているRyzen 7 5800Xでも検証を進めていこう。なおテストはRyzen 9 5950Xと全く同じ条件で行っている。
8コア/16スレッドのRyzen 7 5800X。TDPはRyzen 9 5950Xと同じ105Wだが、CCDが1基のため熱処理は格段に難しくなっている |
「OCCT 10.1.7」では、Package Powerが最高でも120Wまでしか上がらないこともあり、CPU温度は最高でも80℃、おおむね75℃前後で推移する。一方、Package Powerが140Wまで上昇する「CINEBENCH R23」では、CPUが許容する最高温度である90℃まで上昇してしまう。サーマルスロットリングと思われる症状は見られなかったが、冷却性能はギリギリであることは間違いない。
ファンの回転数はいずれのベンチマークでもフル回転まで上昇しており、余力は全く残されていない状態だ。ゲームやオフィスソフトなどのシングルスレッド処理が中心のアプリケーションや、マルチスレッドでも軽めの処理であれば問題ないが、拡張命令に最適化された重量級のアプリケーションを使う場合は、より冷却性能の高いCPUクーラーを検討したほうがいいだろう。