エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1143
2022.05.21 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからはエアフローを最適化した、F-LUX PLATFORMに最も重要な冷却ファンレイアウトを解説していく。まずはフレッシュな外気をPCケース内部に取り込むフロントファンだ。
DF800 FLUXの象徴とも言えるデザインされたフロントパネル内部には、3基の120mmファンが標準で装備。詳細スペックこそ非公開だが、乳白色の9枚インペラ仕様で、内蔵アドレサブルRGB(ARGB)により鮮やかに発光する。なお実際に動作させたところ、低~中速回転ファンという印象で、決して耳障りになる動作音は聞こえてこない。とは言え、フロントからひとかたまりで常時送り込まれるエアフローは強力で、DF800 FLUXが冷却性能にこだわった設計である事を改めて認識させられる。
フロントパネルを外す事でアクセスできる120mm ARGBファンは、いずれもシャーシの前面(外側)にマウント。140mmファン3基への換装用スリット(ネジ穴)も備え、120/140/240/280/360mmサイズのラジエターが搭載できるようになっている。なおラジエターは、25mm厚冷却ファンをシャーシの内側に搭載した場合は30mmまで、シャーシの外側に搭載した場合は55mm厚までサポートされる。
出荷時、トップパネルの通気孔に冷却ファンは搭載されていない。大判防塵フィルタを外すと120mmおよび140mmファン用のスリット(ネジ穴)があらわになり、120mm x3基または140mm x2基が増設可能。ラジエターは120/140/240/280/360mmサイズが搭載できる。
もちろん選択は自由だが、DF800 FLUXにはフロントにARGB 120mmファンが3基標準装備されているため、トップパネル部にラジエターを搭載するケースが多いのではないだろうか。
リア上部には、120mmファンが1基標準で装備される。熱源となるCPUやマザーボードの電源周り周辺の熱ごもりを防ぐべく、常時排出を行う排気ファンは重要な役割を果たしている。こちらは発光機能は非搭載のオーソドックスなスクエアファンで、インペラは9枚仕様。詳細スペックは非公開だが、フロントファン同様、静音仕様である事は間違いない。
なおラジエターは唯一120mmサイズが搭載可能。最もベーシックなオールインワン型水冷ユニットをチョイスした場合、リア部が換装の対象になるはずだ。
FLUXシリーズの検証では幾度となく紹介しているのが、F-LUX PLATFORMのキモとなる逆回転ファンだ。ボトムカバー天板の通気孔部分に固定する120mmファンは、インペラの”捻る向き”を逆方向に設計。通常ファンとは吸排気方向が逆になることで、ボトムカバー内部の排気と、右側面下のスリットから外気を取り込む吸気の役割を兼任している。なおAntecの検証では、実際にPCケース内部の温度低下には大きな役割を果たしている事が分かっている。
120mm逆回転ファンは1基が標準装備。増設用のネジが付属しているため、2基を並べての運用も想定しているようだが、電源ユニットの真上のポジションはさほど効果は期待できないだろう |
マザーボードトレイ背面のCPUクーラーメンテナンスホール下には「ARGB & PWMファン接続用マルチハブ」が搭載されている。DF700 FLUXにも標準装備されていた基板(ARGB & PWM FAN HUB CONNECTIONSと紹介)は、ケーブルマネジメントに大いなる利便性を発揮してくれる。
基板の左手には3pinのアドレサブルRGBコネクタ合計6口(内3口は使用済み)、右手には3pinの冷却ファンコネクタ合計6口(内4口は使用済み)が用意され、空きコネクタはオールインワン型水冷ユニット等の接続に利用が可能。基板上部には予めトップパネルのLEDボタンをアクティブにさせるRGBコネクタ、下部にはマザーボードのARGBコネクタ接続用ケーブル(左)とSATA電源ケーブル(右)がそれぞれ搭載され、これらを接続する事でアドレサブルRGBと冷却ファンの給電をひとまとめに引き受けてくれる。
近頃のPCケースは冷却ファンとイルミネーションが複数におよぶため、マザーボード上のコネクタでは足りない場合がある。なによりケーブルは煩雑になり、この手のマネジメントアイテムは、これらを解消する手段として必須な存在と言えるだろう。