エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1146
2022.05.28 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
従来モデルから電源回路のフェーズ数や冷却機構も強化された「Z690 Steel Legend WiFi 6E/D5」だが、Maximum Turbo Powerが241Wに設定されているハイエンドモデルCore i9-12900Kの性能を引き出すことができるのだろうか。
「Z690 Steel Legend WiFi 6E/D5」では、「インタラクティブUEFI」の「CPU Cooler Type」を変更することでPL1/PL2の設定を変更することができる |
そこで今回は「インタラクティブUEFI」に搭載されている「CPU Cooler Type」から、「Air Cooling」「120~140mm Liquid Cooler」「240~280mm Liquid Cooler」「360~420mm Liquid Cooler」の4つのプリセットを選択し、PL1(Long Duration Package Power Limit)とPL2(Short Duration Package Power Limit)を変更して動作を確認してみることにした。なおストレステストには「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使用している。
「Air Cooling」のPL1は125W、PL2は265W | 「120~140mm Liquid Cooler」のPL1は180W、PL2は265W |
「240~280mm Liquid Cooler」のPL1は241W、PL2は265W | 「360~420mm Liquid Cooler」のPL1は265W、PL2は265W |
「Air Cooling」や「120~140mm Liquid Cooler」を選択すると、初回のベンチマーク中はブースト状態を維持できるが、2回目以降はPackage Power、動作クロックとも大幅に低下する。しかし、PL1がMaximum Turbo Power以上の数値に設定される「240~280mm Liquid Cooler」や「360~420mm Liquid Cooler」を選択すると、Pコアはいずれも4.9GHz、Package Powerは245W前後を維持できるようになる。「CINEBENCH R23」のマルチコアテストでも27,000ptsを上回り、以前詳細検証をお届けした「Z690 Taichi」と比較しても遜色のないスコアを記録する。
アイドル時:電源回路のサーモグラフィ | 高負荷時:電源回路のサーモグラフィ |
ちなみにMOSFET温度はセンサーで取得できなかったが、サーモグラフィを確認すると高負荷時は大型のアルミニウムヒートシンクの温度が全体的に上昇しており、効率よく放熱できている様子が見て取れる。
今回は「Steel Legend」シリーズとしては初のDDR5対応モデルになる「Z690 Steel Legend WiFi 6E/D5」の検証を進めてきた。DDR5メモリに対応したことで、4,800MHz以上の高クロックメモリが手軽に利用できるようになり、特にメモリ帯域が重要になるクリエイター関連の処理ではパフォーマンスアップが期待できる。さらに動画編集やレンダリングなど、処理時間が長くなりがちな作業では「Steel Legend」シリーズの信頼性や耐久性を重視した設計は大いに魅力的に映ることだろう。
さらに従来モデルから電源フェーズ数やヒートシンクも強化され、第12世代Intel Coreプロセッサのハイエンドモデル(実質的には最上位)Core i9-12900Kを組み合わせた場合でも全く問題なし。CPUの冷却には十分に気を配る必要があるものの、その能力をしっかりと引き出すことができた。
当初は流通量が少なく、入手が難しかったDDR5メモリだが、最近では入手性も改善し、価格もこなれてきた。これから第12世代Intel CoreプロセッサのハイエンドモデルとDDR5メモリで組むなら「Z690 Steel Legend WiFi 6E/D5」は注目の1枚になるだろう。
協力:ASRock Incorporation