エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1147
2022.05.30 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
テストセッションのラストは、消費電力や冷却性能をチェックしていこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「CINEBENCH R23」「Night Raid」「ファイナルファンタジーXIV︓暁月のフィナーレ」実行時の最高値を採用している。
ノートPC向けのCPUを採用しているため、消費電力はアイドル時が約8W、高負荷時でも最高約42Wまでしか上がらず、省電力性能は非常に優秀だ。またシングルチャネルとデュアルチャネルでは有意な差は見られなかった。それでいてグラフィックス性能は飛躍的に向上することから、メモリの増設は積極的に検討をしたい。
また冷却性能を確認すると高負荷時の温度はCPUコアが最高71.9℃、GPUコアが最高55.5℃で、冷却性能にも問題はなし。ノイズレベルはアイドル時33.9dBA、グラフィックス系のベンチマークでも40dBAを超えることはなく耳障りに感じることはなかった。またCPUの負荷が非常に高い「CINEBENCH R23」では42.6dBAまでノイズが上昇し、特有の風切り音が聞こえてくる。とは言え、デスク上に置いてもうるさいと感じるほどではなかった。
流行りのミニPCの中でも最小クラスの本体サイズを実現したBeelink「SER 3」。重量も500g以下と軽く、ACアダプタもコンパクトで手軽に持ち運べるため、自宅と会社でまったく同じ環境を利用したいというニーズにも応えることができる。さらにVESAマウンタへの取り付けもできることから、設置スペースを気にすることなく使用可能。ファンのノイズも最小限、リビングのTVと組み合わせてスマートテレビ風に使うのも面白い。
CPUは実質3世代前のRyzen 7 3750Hのため、最新ノートPCに比べるとやや見劣りする面はあるものの、シングルスレッド性能については、Zen/Zen+世代のデスクトップPCに比肩する優秀な結果。さらにマルチスレッド処理もSMT機能のおかげで、実コア数以上のパフォーマンスを発揮しており、ホームユースやオフィスアプリケーションが中心のビジネス用途であれば全く問題ないだろう。
そしてOSがプリインストールされた完成モデルながら、税込約5万円から購入できるコストパフォーマンスも大きな魅力。メモリがシングルチャネルである点や、無線LANがWi-Fi 5までの対応になるなどコストカットの影響は確かにある。しかし、いずれも不満が出ればあとから拡張できるようになっており、大きなデメリットにはならないはずだ。
協力:Beelink